教育福島0089号(1984年(S59)02月)-039page

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知っておきたい教育法令

 

定年制度

 

(総務課管理主事 古関隆史)

 

一 定年制度導入の趣旨

 

第九五回臨時国会において、「地方公務員法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が可決成立し、昭和五六年一一月二〇日に公布された。この結果、一般職の国家公務員等と同様に、昭和六〇年三月三一旧から、一般職の地方公務員に対しても六〇歳定年を原則とする定年制度が導入されることとなった。

従来、市町村立学校職員(県費負担教職員)及び県立学校職員においては、現行の地方公務員法上定年制度を設けることが認められていないために(同法第二七条二項参照)、各教育委員会では定年制度の代替的な機能を果たすものとして、高齢職員に対する組織的集団的な退職勧奨を実施してきたのが実情である。

定年制度は、職員が条例で定められた一定の年齢に達したことにより、自動的にその身分を失うことを基本的な内容とするものである。その導入のねらいは、国会での改正法案提案理由説明で述べているように、地方公共団体においても、高齢化社会への対応に配慮しつつ、職員の新陳代謝を確保し、長期的展望にたった計画的、かつ、安定的な人事管理を推進するため、適正な退職管理制度を整備することにある。このような定年制度が実現されることによって、地方公務員の採用から昇任そして退職にいたる一貫した任用管理制度が、現行地方公務員法の制定以来初めてその完成をみることになるのである。

 

二 改正法の概要

 

定年制度の導入及びその基本的枠組みは、地方公務員法の従来からの分限に関する規定である第二八条の次に新たな条文として第二八条の二から第二八条の四を置いて定められた。その内容は、次の六項目から成り立っている。

 

1 定年による退職(第二八条の二第一項、改正法附則第三条)

 

定年に達した日以後における最初の三月三一日までの間において条例で定める日に退職する。

 

2 定年(第二八条の二第二項、第三項)

 

国の職員の定年を基準として条例で定める。ただし、職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難である場合には、例外として特例定年を条例で定めることができる。原則として定年年齢は六〇歳とされるが、国においては、医師及び歯科医師は六五歳、労務職員(例えば守衛、用務員等)は六三歳とする考えをとっている。

 

3 勤務延長(第二八条の三、改正法附則第四条)

 

定年により退職すべきこととなる職員の職務の特殊性又は職務の遂行上の特別の事情からみてその退職が公務の運営に著しい支障を生ずると認められる十分な理由があるときは、一年を超えない範囲内で引き続き勤務させることができる(更新して三年が限度)。

 

4 再任用(第二八条の四、改正法附則第五条)

 

定年退職者又は勤務延長後退職した者について、その者の能力及び経験を考慮し、公務の能率的運営を確保するため特に必要があると認めるときは、一年を超えない範囲内で、常時勤務を要する職に採用することができる(定年退職日の翌日から起算して三年が限度)。

 

5 定年に関する準備措置及び施策の調査等(改正法附則第二条)

 

定年制度の円滑な実施を確保するため、任命権者及び地方公共団体の長が行う準備措置について定めたものであり、改正法公布日から施行されている。

 

6 施行期日(改正法附則第一条)昭和六〇年三月三一日(5については公布の日)から施行する。

 

三 条例の制定

 

改正法は、定年制度の導入を地方公共団体に義務づけており、昭和六〇年三月三一日までには定年等に関する条例を制定すべきものとしている。これに基づき、定年制度の具体的実施に関する事項については、地方自治の本旨に沿うべく各地方公共団体の実情に応じて条例で定めることになる。

本県でも、市町村立学校職員に適用される条例と、県立学校職員をも含む県職員に適用される条例とが、自治省から通知のあった「職員の定年等に関する条例(案)」(条例準則)に準じて制定される運びとなっている。

 

 

 


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