教育福島0091号(1984年(S59)06月)-003page
季節の中で…
いわきの空に響け!
−じゃんがら念仏を伝えるいわき市立平第五小学校−
六月になると、いわきの辻々には“じゃんがら念仏踊り”の賑やかでメランコリックな音が響き始める。新盆回りのための青年達の練習が始まったのである。
古に祐天上人が、庶民の宗教心を高めんとして始められたこの念仏踊りは、現在いわきの地では夏には欠かせない伝統行事である。
ここ飯野の里にある平第五小学校では、六年生の矢部君や高木さんら十数名が、この伝統芸能の灯を守ろうと週一度の練習に汗を流している。祖父が地元の念仏踊りの指導者だという清水君も「小さいころから見聞きしてきたので、クラブヘも当然のように入りました」と話してくれた。
輪になって踊りは続く。鉦と太鼓が校庭に響く。子ども達の祈りが、いわきの空に吸いこまれていく。楽しいひと時である。
いわき市立平第五小学校のゆとりの時間の活用例で、四年生以上のグラブ活動として実践し、担任の加藤慶子先生の無心な念仏踊りの指導のせいか、子ども達といっしょにわきあいあいと活動している。時期になるとあちこちから出演依頼の声がかかるとのことである。