教育福島0095号(1984年(S59)10月)-059page

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博物館だより

木地師の伝統技術復元調査

文化施設整備室の事業の一つに『滅びゆく伝統技術復元調査』があります。この事業の主旨は、今日では見ることのできなくなった、あるいは失われつつある伝統的な技術を道具、状況も含めて復元実演してもらい、記録・保存しようというものです。

そのスタートとして、58年度は「木地師の伝統技術」を取り上げました。

「木地師」とは、木地屋、木地挽ともいい、チョーナ、ロクロなどの工具を用いて漆器の椀・盆などの素地を作るという独特な工人です。彼らは独立した集落をつくり、伝統技術を保持しながら生活を営んできました。本県では、南会津郡、大沼郡、耶麻郡を中心にその分布を見ることができます。

木地師の作業は、大きく二つの工程から成っています。前半はトチ・ブナを伐採し、椀・盆のおおよその形をチョーナを用いて整形するアラガタ(荒型)取りの作業。後半はアラガタをロクロにかけて木地に仕上げるロクロ挽きの作業です。実演は技術伝承者のいる西会津町と喜多方市で、のべ八日間にわたり実施しました。なかでもとくに、サワグルミの皮で葺いた山小屋の製作、アラガタ取りのブンギリ、ハギトリの二種類の手法の実演、さらに大正初期ですでに姿を消した手引きロクロの製作`実演は、学問的にも貴重な資

料といえます。

この成果は、昭和61年開館予定の県立博物館総合展示で公開する予定です。

山小屋でのアラガタ取り (西会津町弥平四郎)

山小屋でのアラガタ取り (西会津町弥平四郎)

手引きロクロ挽き

手引きロクロ挽き

編集後記

風も涼しさを増し.今年は米の稔りもよいそうです。

十月。学習にスポーツにと学校では充実した毎日のことと思います。今号の特集は「学習指導の展開」です。先生方の日ごろの実践にお役に立てばと思います。また巻頭言、提言とも体育関係者に御執筆いただきましたが、八月のロス・オリンピックの記憶も新たなうち、スポーツー体育について一考していただければと思います。

ところで十月は研究発表の花ざかりです。小教研では各プロックごとに会がもたれます。発表等の研究指定校では、それこそ毎日目のまわるような忙しさと思います。健康に御留意なされて研究を深めていただきたいものです。筆者もかつて図工の研究発表の時、夜半うどんをすすりながら激論をかわしたことを思いだします。あれは、ほんとに大変なんですよねエー。

さて、今、机上に最新式のカメラがあります。その箱に「どんどん光る全自動」とうたい文句が書かれている。これ、どういう意味だろう。どんな状況でも完全な自動作用で写ることが可能であるの意だろうか。もしそうなら、すばらしくもまた恐ろしいと思う。私たち教師もひょっとして全ての児童生徒に全自動的能力を期待しすぎてはいないだろうかなどと考えてしまいます。

教育福島 '84 10月号 Vol.95 昭和59年10月15日発行

●発行所 福島県教育委員会 ■発行者 村岡房之助 ■印刷 福島印刷センター


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