教育福島0097号(1984年(S59)12月)-047page

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博物館だより

天神沢遺跡 −鹿島町−

弥生時代の石器類採集

(原町市在住の竹島国基氏のコレクションから) (原町市在住の竹島国基氏のコレクションから)

(原町市在住の竹島国基氏のコレクションから)

県教育庁文化課文化施設整備室では、県立博物館建設準備の一環として、個人所蔵のコレクションの調査を実施している。ここでは、原町市在住の竹島国基氏のコレクションの中から、鹿島町江垂に所在する天神沢遺跡採集の遺物を紹介したい。

天神沢遺跡からは、石庖丁、太型蛤刃石斧、扁平片刃石斧、ノミ型石斧などの弥生時代の石器類が大量に採集されている。これらの石器の製作技術は、弥生時代の初頭に、稲作とともに大陸から渡来したものと考えられている。その中でも、もっとも注目されるのは石庖丁である。石庖丁は、稲の穂を刈るための道具で、稲作が行われていたことを確実に証明する資料といえる。天神沢遺跡では八十五点の石庖丁が採集されており、一遺跡で確認されたものとしては、東北地方で最高の出土数を誇っている。石庖丁には、相馬地域に産する粘板岩(スレート)という特有な石材が用いられており、この地域は、石庖丁の製作に適した地域であったことが予想される。あるいは、この地域で生産された石庖丁が、良好な石材を持たない周辺の地域に供給されたのかもしれない。

天神沢遺跡の資料は、われわれの祖先が、今から約二千年前に、稲作農耕の開始にあたってどのような道具を用いていたかを示す貴重な資料である。

当資料は昭和六十一年開館予定の県立博物館にて展示公開する計画である。

編集後記

いよいよ師走。街に商戦のジングルベルが響き、店頭にケーキと正月飾りが並べられる。暮れは実にあわただしく、時間に追いかけられるように過ぎてゆく。

一年というと短かくも思うが、三百六十五日と、その日々を数えると、あの日、あの時のあれこれが胸にせまる。クラスの子どもたち、その親、職場の仲間、と出合った人と出来事は数多い。

その中でも忘れ得ぬこと、心の糧となったこと、そして決して許されざることなど我が胸に刻むことも指折り数えるといくつかある。

そしてまた次の日がやってきて、新しい年が始まっていく。来年こそと思うこともまた実に多い。仕事をこうしよう、家族とこうしよう、友人とああしようと、そしてまた今年苦しかったあの子、あの人に幸せがくるようにと祈る心もまた深い。

本誌もさまざまな試行錯誤をくりかえし、ミスも散見され、いろいろと御批判、御忠告をうけてきました。来年こそと心を一新し、更に充実した誌面づくりに努力したいと考えております。

読者の皆様の御援助と御協力をお願いして昭和五十九年のぺージを終らせていただきます。

ありがとうございました。

来年もよろしく。

教育福島 '84 12月号 Vol.97 昭和59年12月15日発行

●発行所 福島県教育委員会 ■発行者 村岡房之助 ■印刷 福島印刷センター


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