教育福島0098号(1985年(S60)01月)-045page

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美術館だより

収蔵作品紹介

日本を代表する版画家

斎藤清氏(会津出身)の墨絵

斎藤清氏(一九〇七〜)は日本を代表する版画家の一人です。河沼郡会津坂下町に生まれた氏は、五歳の時に北海道の夕張に移り、地元の小学校を卒業した後、看板店などに勤めながら、ほとんど独学で絵画や版画の勉強を続けました。一九五一年、ブラジルのサンパウロ近代美術館で開催された第一回「サンパウロ・ビエンナーレ展」で、「凝視(花)」(木版画)が受賞したのを始め、アメリカやチェコスロバキアなどでも展覧会を開くなど、国際的な活躍を続けています。

斎藤清氏の作品は、代表作の「会津の冬」シリーズを始めとする木版画がよく知られていますが、氏はその他にもコラグラフやドライポイントという技法による版画、さらには日本画、墨絵の制作にも意欲的に取組んでいます。

墨絵は、氏が還暦を過ぎてから描き始めたものですが、墨の濃淡と和紙の余白が織りなすモノクロームの世界です。

雪化粧をした山河、雪帽子を被った家々。道をゆく点景人物のシルエットには、故郷会津に思いを馳せる氏の心情が託されているのでしょうか。

木版画による「会津の冬」は、大胆な構成や鮮かな色彩の対比などに現代的な造形感覚を感じさせますが、墨絵による「会津の冬」は、色調も淡く、画面構成も穏やかで、会津の画家斎藤清氏の心象風景といえるでしょう。

会津の冬(2)西会津・上安座

(制作年一九八二年紙本墨画五一・三×九七・〇センチメートル(右下))

津の冬(3)西会津・関根

(制作年一九八二年紙本墨画五一・三×九七・〇センチメートル(左上))

展覧会予告「現代版画の軌跡」展

県立美術館では、本年度最後の企画展として「現代版画の軌跡」展(仮称)を開催します。

この展覧会では、日本の主要な版画家四〇名の代表作約一八〇点を展示します。本展によって、戦後から今日に至る日本の版画の流れが展望できるものと思います。

会期 二月一五日(金)〜三月二日(日)

観賃料(予定) 一般・大学生500円(400円) 高校生350円(300円) 小・中学生250円(200円)○内は団体(20名以上)の料金

月曜休館、三月二一日(春分の日)は開館、三月二二日(金)は休館します。

午前九時三〇分〜午後五時(入館は四時三〇分まで)


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