教育福島0098号(1985年(S60)01月)-047page

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博物館だより

クジラの化石発掘 (双葉町)

県教育庁文化課文化施設整備室ではさる昭和五十七年七月に双葉町新山の町道改良工事現場にて発掘されたクジラ化石の整理・研究を進めている。

発掘した骨は頭蓋骨と思われるもの一点、肩甲骨二点(左右)、上腕骨一点、肋骨十四点、脊椎骨十点、耳骨二点(左右)でその他小骨片が多数見つかった。死後ある程度の骨の分離はあるが、ほぼ前半身の部分がまとまって出土している。肩甲骨、肋骨等の形状・大きさなどにより、この化石はクジラの化石にまちがいないとの結論に達したが、どういつだ種類のクジラであるかは、現在までのところ判明しておらず、分類学上もたいへん貴重な資料である。体長は肩甲骨の大きさから推定して十数メートルはあったと思われ、本邦より発見されたクジラの化石としては最大級のものである。クジラの年代については、クジラの埋まっていた地層の年代がわかっており、それにより今から約二〇〇万〜五〇〇万年前のものであると考えられる。クジラの骨以外にはサメの歯、巻貝、魚の骨・ウロコ、植物の茎などの化石が同時に多数発掘されており、その化石内容と地層が砂まじりの泥であることから推定して、クジラは陸からそれほど遠くない浅い海底に死後埋没したものと思われる。即ち当時は海が現在の海岸線よりもずっと内陸に入り込んでいたわけである。

なお、クジラ化石は今後クリーエング作業を更に進め、県立博物館の展示にて公開する予定である。

クジラ化石発掘状況

クジラ化石発掘状況

(土を取り除き骨を露出させた後、ブロックで切りとり運搬する)

クジラ化石発掘現場

クジラ化石発掘現場

(手前に見えるのが肩甲骨、むこうに見えるのが肋骨及び胸椎、腰椎である)

編集後記

新年明けましておめでとうございます

新しい年がスタートして数日が過ぎました。読者の皆様には、新しいお気持ちでお元気におすごしのことと存じます。本年も当誌に御協力、御指導をよろしくお願いします。

さて、学校では三学期がスタートしました。この時期は一年間のまとめの時期です。子ども達の成長、変化のあとを確かめ、次年度への期待をこめる時です。そんな中、本特集はこの一年の先生方の研究実践のお役にたてばと論文コンクールの特選作をとりあげました。多忙の中、実践の尊さに目を向けていただければと思います。

ところで今年はどんな年となるのでしょうか。私達一人一人をとりまく状況も教育環境も相変わらず厳しさと困難さは続くのでしょうか。でもこういう時こそ「脚下照顧」、足元を見つめ地面にしっかりとたって、来るべき日々を努力と実行でむかえなければと思います。

また、今年もいろいろな人と出合い、様々な出来事と出合うでしょう。人との出合いを大切にし、「人」から学び「人」へと伝え、喜びや哀しみも明日への糧となるような毎日にしたいものです。今年もお互いに元気でがんばりましよう。

教育福島 '85 1月号 Vol.98 昭和60年1月15日発行

■発行所 福島県教育委員会 ●発行者 村岡房之助 ●印刷 福島印刷センター


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