教育福島0100号(1985年(S60)04月)-051page

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博物館だより

縄文時代の住居跡発掘

−二本松市−

県教育庁文化課文化施設整備室では昨年十月から十一月にかけて、二本松市上原所在塩沢上原A遺跡の発掘調査を実施しました。

遺跡である。今回は地点をかえて、遺跡の広がりを把握することを目的とした。 遺跡である。今回は地点をかえて、遺跡の広がりを把握することを目的とした。

この遺跡は昭和四十六年に東北自動車道建設に伴って調査され、縄文時代の大集落として注目を浴びている遺跡である。今回は地点をかえて、遺跡の広がりを把握することを目的とした。

今回の調査では、縄文時代中期後葉(今から約四千三百年前)の縄文人の住居跡十九軒が検出された。この時期

の住居跡には「複式炉」と呼ばれる大型の炉が設置されることが多く、今回検出した炉もすべて複式炉であった。

複式炉とは土器を埋設した炉と石を組んだ炉を並置し、更にそのまわりを石で囲んだもので、福島県を中心に東北北部から北陸まで分布している。なぜこの時期にこのような炉が住居内に設置されるようになったかは未だ明らかではないが、何らかの原因によって食生活に変化が起きた結果と考えられ

る。

このほか住居が営まれた時期から三百年程さかのぼる中期中葉ころの縄文人が穴を掘った跡(土◆)が検出された。この中からは華麗な装飾が施された完形に近い土器が出土している。

検出した複式炉のひとつは原型のまま土を切り取って運び込み、現在処理中で、出土遺物と合わせて県立博物館総合展示『原始』の「縄文のムラ」に展示する予定である。


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