教育福島0122号(1987年(S62)07月)-032page
目や耳等の身体面で、なんらかのハンディキャップを負っている子どもたちを一般に心身障害児(又は単に障害児)と呼んでいる。
これらの心身障害児には
・目がよく見えないか全く見えない者
・聞く力が不十分であるかほとんど聞こえない者
・精神発達に遅れがある(知恵遅れ)者
・手足や体の動きがうまくいかない者
・慢性の病気にかかっている者
‘情緒が不安定で行動に問題がある者
・心身の障害が重複している者
心身障害児は日常生活や学習においてなんらかの不自由な状態にあるので、これらの改善又は克服を図るために教育・医療・福祉等様々な面からの配慮が必要である。
(2) 心身障害児と養護教育について説明する
1) 心身障害児の教育
心身に障害のある児童生徒の中には小学校や中学校の通常の学級における教育では十分な教育効果を期待できない者がいる。
これらの児童生徒に対してはよりよい環境を整え、その可能性を最大限に伸ばし、可能な限り積極的に社会的自立を果すようにするため、特別な配慮のもとに手厚い教育を行っている。
具体的には
○盲学校
○聾学校
○養護学校
・精神薄弱養護学校
・肢体不自由養護学校
・病弱養護学校
○小学校や中学校にある特殊学級
・精神薄弱特殊学級
・肢体不自由特殊学級
・病弱・身体虚弱特殊学級
・弱視特殊学級
・難聴特殊学級.
・情緒障害特殊学級
・言語障害特殊学級
における教育を指している。
心身障害児のうち盲学校、聾学校養護学校の教育の対象となる児童生徒の障害の種類と程度は、学校教育法施行令により定められている。(資料3)
2) 訪問教育
心身の障害が重複するなど、その状態が重く、日常生活において常時介護を必要とするなどのため、可能な限り教育を受ける機会を提供しようという趣旨から養護学校等から教員を家庭などに派遣して指導を行ういわゆる訪問教育が行われている。
この場合、指導内容、方法等については、児童生徒の実態に応じて弾力的に取り扱われている。
なお、疾病の冶療又は生命・健康の維持のため療養に専念することを必要とし教育することが困難又は不可能な子どもについては、保護者の願い出による就学義務の猶予又は免除の措置がとられる。
(3) 指導助言の方法
1) 市町村教育委員会の教育措置について就学指導審議会や学校における調査検査及び審議経過等の資料を基にしながら親切に相談する。
特に心身障害児の教育について、通常の学級における教育では教育効果を期待することが困難であることを理解させる。
2) 家庭を訪問する
・なるべく回数を多くし家族の誰とも気やすく話し合えるようにすることが望ましい。
・威圧的になったり感情的なしこりを残さないように相手の気持ちを考えながら話をすすめる。
・障害を持つ子どもの持っている能力を伸ばし社会参加を果たしていくためには手厚い教育が必要であること、そのためには養護教育によることが適切であること、子どもの幸福は何かに焦点をあてて話しをすすめる。
3) 特殊学級や盲・聾・養護学校の参観をすすめる。
・必要によっては特殊学級や盲・聾
・養護学校を参観してもらう。
・あらかじめ親の都合を聞き、参観予定の学校に連絡しておく。
・参観したあとで感想を聞きながら相談する。
4) 特殊教育就学奨励費
小学校及び中学校の特殊学級、盲
・聾・養護学校への就学の特殊事情により、その就学に係る保護者等の経済的負担を軽減するために就学奨励費の対象となる経費は、次のページの資料7のとおりである。
5) 盲・聾・養護学校と福祉施設
盲・聾・養護学校には施設が併設されている。
施設入所については、福祉事務所を通して児童相談所に相談する必要があり、また、国立病院等については病院における診断、入院措置が必要であることを知らせる。県内には資料2(16ぺ−ジ)に掲げたような施設・病院がある。