教育福島0126号(1987年(S62)11月)-002page
文化の窓
県立博物館企画展
会津の仏像
シリーズ福島の仏像1
期間 十月十七日〜十二月十三日
場所 県立博物館
本県は会津、中通り、浜通りの三地域に分けられます。それぞれの地域には、各時代を通して特徴的な仏像が伝えられています。それらは各地域の歴史や文化と深く関りをもちながら、地域的な特性をもっています。今回は会津に焦点を当て、この地域に伝存する仏像を中心に展示します。
会津は平安時代の初期に徳一が住んで、天台宗を開いた最澄と仏教の論争をしました。古くから仏教文化が花開いたところです。このような歴史を反映して、古い時代から連綿として多くの仏像が造立されてきました。平安時代前期の作には、勝常寺の諸像に代表されるように量感のある、堂々とした一木造の像があります。そして後期になるにしたがって、中央で流行した定朝様の流れを受け継いで、この土地でも穏やかな作風の像が造られるようになりました。鎌倉時代に入ると、慶派の様式が主流を占めるようになりました。その様式を受け入れながら、当地でも造像活動が盛んになります。南北朝、室町時代では、仏師乗円のような中央の仏師がこの地に下向し、造像に従事しています。
中央の新様式を受け、それをいかに在地化し、この土地に特有な仏像を生み出していったか。新たに見出された仏像を中心に、会津の仏像の時代的変遷を理解するとともに、その地域的特色が把握できるように構成されています。
地蔵菩薩立像・平安時代前期勝常寺(河沼郡湯川村)
観音菩薩立像・鎌倉時代前期高巌寺(会津若松市)
地蔵菩薩立像・明徳4年(1393)金川寺(耶麻郡塩川町)