教育福島0127号(1987年(S62)12月)-002page
文化の窓
拡大常設展
福島県大正期の日本画
坂内青嵐を中心に
前期 十二月五日(土)〜二十日(日)
後期 一月九日(土)〜三十一日(日)
県立美術館では、企画展開催の間を利用して、通常は内室の常設展を正室に拡大して、特別のテーマによる展示を行っています。
今回は、本県の日本画の歴史のうえで、ひとつの隆盛期を生み出した大正期の画家たちに焦点をあて、花鳥画などに大作をのこした勝田蕉琴、墨画に特色ある作品をのこした舞曲哀れなどの作品を紹介します。待に歴史画家として知られた坂内青嵐については、その作品と資料をまとめて展示します。
坂内青嵐(一八八一〜一九三六)は会津高田町の出身で、東京美術学校で寺崎広業に学びました。彼は一九一〇年の日英博覧会に歴史画を出品し金賞を受賞、また、一九二五年の第六回帝展に「先覚照影」を出品し、歴史画家としての評価をたかめました。
彼は、一九一九年に本県出身の日本画家たちで結成された「福陽美術会」の幹事長をつとめるなど、本県の美術の振興につくしました。
当館には、坂内青嵐の関係資料が一括して収蔵されていますが、それらは日本画の制作過程や、画家の素顔を知る二とのできる興味深い資料です。
勝田蕉琴「安らかなる鳥の巣」一九二一年
坂内青嵐「先覚照影」1925年
湯田玉水「野塘青松図」一九二八年