教育福島0137号(1989年(H01)02月)-047page
世界の教育は、今。海外教育事情の紹介
スポーツ界を支える地域のクラブ
−西ドイツ−
日独スポーツ少年団同時交流派遣団に東北IIグループの指導者として参加し、バーデンヴュルテンベルク州マンハイム市を訪れました。
西ドイツのスポーツ組織はスポーツを統轄するドイツスポーツ連盟の傘下に十一の州スポーツ連盟と五十二の種目別競技団体、さらに約六万一千五百の体操クラブ及びスポーツクラブがあり、約一千九百二十五万人の市民がスポーツ活動を行っており、これらのスポーツクラブ、市民が西ドイツのスポーツ界を支えているわけです。
日本の高校、大学のクラブ活動のようなものはなく、体育の授業以外は同好者グループがある程度で、若い人達のスポーツの場は主に地域のスポーツクラブです。このスポーツクラブの二十一歳までの会員が今回私達が交流してきたドイツスポーツユーゲントです。
伝統の教育制度に改革の動き
ドイツの文教権は各州にあるため各州ごとに違いがあり、連邦州教育計画・研究促進委員会は共通の教育計画に向けて現在改革中とのことでした。
現行の教育形態は、六歳でグルントシューレ(基礎学校)へ入学。グルントシューレは一般的には四年ですが西ベルリンでは六年になっています。その後進む方向が分かれますが、子どもたちは複数の可能性から選択することができます。現在では多くの生徒はまず指針段階五、六学年に入り、そこでは特定の学校類型に対する自分たちの決定について熟慮し、変更することができます。この年齢層の約八十パーセントがハウブトシューレ九学年(基幹学校)に入り、十五歳で終了するものは、その後大半が職業訓練に入ります。
これと並行して、十八歳までベルーフスシューレ(職業学校)へ通う子どもたちもあります。また、ハウブトシューレを卒業すると、手工業、工業における多数の訓練職業への道が開かれます。レアールシューレ(実科学校)は五学年から十学年までの六年です。このレアールは「中等教育終了」につながり、ハウブトシューレとギムナジウム(五学年から十三学年まで)の間に位置し、ここを卒業すると職業生活での中堅コースが約束されるとともに、専門学校へ進むことも可能です。
九年間のギムナジウムはドイツでは伝統的な「高等学校」であり、その卒業証書またはアビトゥールによって大学に学ぶ資格を得ることができます。
新しい学校形態としてゲザムトシューレ(総合制学校)があり、この学校の特徴はこれまで分離されていた三つのコースを一緒にし、通常五学年から十学年の生徒を受け入れています。二、三の総合学校には、ギムナジウムの上級段階と同じ構成で、独自の上級段階があり生徒は自分の能力に応じて、要求度の異なる進路をとることができます。総合学校卒業はすべての連邦州において資格として認められております。
第十五回目独スポーツ少年団同時交流派遣団
指導者 松崎政教
(勤務先(財)大熊町スポーツセンター迎営協会)
ホームスティ先の家族たちと
整備された遊具で遊ぶ子どもたち(マンハイム市ハイゼンパークにて)