教育福島0144号(1990年(H02)01月)-004page
文化の窓
県立美術館企画展案内
浮世絵100年の系譜
−北斎、広重から五葉、深水まで−
期間二月十日(土)〜三月十八日(日)場所福島県立美術館
江戸時代に庶民の芸術として隆盛した浮世絵は、個性豊かな画家たちによって多くの名作が生み出され、日本の美術を代表するものの一つとして海外でも高く評価されています。
江戸後期に最盛期を迎えた浮世絵も、西洋文明の波が押し寄せた幕末、明治期には、大きく変貌していく社会の状況に敏感に反応し、美人画、役者絵といった従来の伝統的な画題ばかりでなく、世相や人々の意識を敏感に反映した作品を生み出しました。
大正期になると、浮世絵の伝統を生かしながら新時代にふさわしい新しい木版画を創造しようとする動きが現れてきます。いわゆる新版画とよばれる動きですが、画家たちは伝統的な技法、画題を継承しながら、大正から昭和初年のモダンな空気を反映した新鮮な作品を数多く生み出しました。
この展覧会は、盛期の、浮世絵に直接つながる、一八三〇年代から、新版画の時代までの約白年間の木版画の名作を展示します。日本人の生活に密着し、伝統的な美意識を反映してきた浮世絵が、明治維新をはさんで急激に近代化の道を歩んだ日本の社会の中で、どのような展開をみせたのかを見ていこうとするものです。
■主な展示作家
葛飾北斎 歌州国貞 渓斎英泉
歌川広重(初代) 歌川国芳 橋本貞秀
歌川広重(二代) 歌川芳虎 落合芳幾
豊原国周 楊洲周延 歌川芳年
歌川広重(三代) 小林清親 井上安治
小倉柳村 吉田博 橋口五葉
川瀬巴水 山村耕花 名取春仙伊東深水
葛飾北斎「富嶽三十六景神奈川沖渡裏」天保2〜4年頃
伊東深水「伊達巻の女」大正10年
歌川広重「名所江戸百景亀戸梅屋舗」安政4年
鏑木清方「こほろぎ」明治39年