教育福島0150号(1990年(H02)10月)-004page
文化の窓
県立美術館企画展案内
「ローマ発大型銅版画への挑戦」展
会期十一月十日(土)〜十二月九日(土)会場県立美術館
第二次大戦以降、今日に至る版画の歩みは、伝統的であった木版、銅版のほかに、新しい素材や技法が生み出されたために、めざましい展開を遂げてきました。特に、一九六〇年代以降、アメリカを中心にして、シルクスクリーンやリトグラフを用いた大画面の版画作品が制作されています。
ヨーロッパは、ルネサンス時代以来五百年以上の銅版画の歴史を持っていますが、イタリア・ローマの版画職人であるロッシ夫妻は、この伝統的な銅版画技法を用いて、現代美術の作家たちと協同制作する夢を抱き、十四人の刷り師を擁する版画工房を設けました。二人の呼びかけに応じた、フォンタナやサム・フランシスら現代を代表する著名な作家たちは、この工房の開発した機材を用いて、大画面の版画作品を生み出しました。その際にロッシ夫妻らは、作家に才能の発揮を促すために、惜しみなく版画技術を提供したのでした。
この展覧会は、画家だけでなく、シーガル、ムーアなどの彫刻家を含む現代の美術家三十三名の制作した百点の版画作品によって、版画工房と美術家が協同で試みた斬新な表現の成果を紹介するものです。
サム・フランシス「無題I」1987年
アルベルト・ブッリ「3つの作品2E」1979年
ヴィクター・パスモア「燃える水」1982年
高橋秀「集」1987年