教育福島0157号(1991年(H03)09月)-012page

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特集1

進路指導の充実

-中学校-

義務教育課

 

新中学校学習指導要領の総則に、「生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行うこと」と示されている。

学校教育において進路指導は、生徒が自ら将来の進路を選択・計画し、就職又は進学してその後の生活によりよく適応し、進歩する能力を伸長するように、教師が組織的・継続的に指導援助する過程であり、学校の教育活動全体を通じて、計画的・組織的に行われるものである。このように、進路指導とは単に学校卒業時における就職あるいは上級学校選択の指導のみを示すものではなく、個々の生徒の能力・適性等の発見と開発を前提としつつ、生徒が自主的に進路の選択をし、自己実現を達成していく能力・態度の育成を図る教育活動であり、将来の生活における生き方の指導・援助である。

一方、近年、中学校における進路指導については、業者の学力テストによる偏差値が主要な資料として利用され、生徒の能力・適性全般にわたる評価や進路希望等が十分考慮されておらず、また、そのことが一高等学校の中途退学の要因ともなっているという指摘がある。

従って、生徒の将来における生き方の指導や人生観、職業観などに立脚した自己実現のための進路選択、決定への援助指導を一層充実する必要がある。

こうした点を踏まえ、県教育委員会では、中学校における進路指導の重点として新学習指導要領の趣旨を基に生徒自らの生き方を考え、主体的に進路を選択することができるように、学校教育全体を通じ、計画的、組織的な指導を行うため、次の三項目を設定している。

一、進路指導についての共通理解を深め、指導体制を確立する。

二、教育課程における進路指導の位置付けを明確にして指導計画を改善し指導の充実を図る。

三、家庭や地域社会、関係諸機関との連携を一層強化する。

この重点施策を具現するための具体的な対策として、各管内ごとに進路指導講座を開設し、各中学校に対して進路指導について一層の理解を深めるようにしている。

また、平成三年四月十九日の中央教育審議会答申では、中学校における進路指導について次のような提言がなされている。「中学校の進路指導に当たっては、生徒の入学段階から生徒一人一人の将来を十分見通して能力適性等を総合的に評価するとともに、本人の希望を尊重し、保護者との相互理解に立った進路指導を行う必要がある。このため、生徒の評価や進路指導をできる限り多くの教師の目を通して行うよう、各学校に学級担任を含めて、校長、教頭、進路指導主事、学年主任等で構成する委員会を設けたり、地域の実情等に応じて、市町村の教育委員会等の判断により進路指導に関する相談窓口を設けることなどを検討する必要がある。また、高等学校の教育内容をはじめ適切かつ豊富な進路情報を可能な限り生徒、保護者や中学校に提供するとともに、中学校側は高校教育の内容等について十分把握するよう努める必要がある。」

各中学校においては、答申の趣旨を踏まえて、進路指導の改善充実に努める必要がある。

以下、中学校における進路指導を充実させるため、自校の課題解決のため全校挙げて研究に取り組んでいる中学校の実践例を紹介する。

只見町立朝日中学校は、平成二年度、三年度の二カ年にわたり県教育委員会の指定を受け、研究を進めている。その研究の成果は、九月三十日(月)に発表される予定である。

各中学校においては、朝日中学校の研究の成果を参考に進路指導の一層の充実を期待するものである。

 

 

 


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