教育福島0157号(1991年(H03)09月)-042page

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教育実践

生活科へのチャレンジ

対象へのかかわりを深め全身で学ぶ授業の創造

郡山市立金透小学校

 

一、研究主題に寄せる願い

 

私たちの目の前にいる子どもたちは、本当に力強く生き抜く力を持っているのだろうか。残念ながら自信にあふれた肯定の返答をすることはできない。過保護、過干渉の社会環境の中で、指示待ちの姿がそこかしこに見られる。また、あふれる物の中で、機械化された生活の中で、物に対しても、他人に対してもうまくかかわれない子どもたちがふえてきている。

しかし、本当に子どもたちは、生来の「見たがりや」「聞きたがりや」「知りたがりや」……といった能動的な学びの姿を失ったのであろうか。

決してそうではない。そのような時間や場が十分保障され、そういった知的好奇心がほんの少しでも刺激されれば、もう子どもたちは、本来の姿を取り一戻すのである。

具体的な活動を通して思考するこの時期の子どもたちだからこそ身近な自然界の事象や社会的事象に十分かかわれる活動にどっぷりと浸らせたい。しかも体を精一杯動かし五感を働かせ、たくましく……。そのような中でこそ様々の困難を乗り越えながら生きていく知恵を学び、価値あるものに目を開き、新しい文化を創造していく力の素地を育んでいくものと考える。

 

二、研究の内容

 

(一) 年間活動計画の改善

「季節の流れに即して」「児童の意識の流れを大切に」といった本校の年間活動計画の基本理念を重視しながらも、以下の点で更に計画の見直しを図っていく。

〇地域に根ざした学習内容の開発

○価値ある体験活動の重視

〇合科的学習の一層の推進

(二)その子らしさを出し切る学習活動の展開

集団の学びの中で、一人ひとりが瞳を輝かせるのは、その子らしい見方、考え方、感じ方、発想のし方、取り組み方……が集団にとって好ましい方向に十分発揮された時である。そういった姿を実現するために、以下の手立てを講じる。

〇一人ひとりの興味、関心、意欲を大切にした活動の場、活動時間の確保

〇一人ひとりに応じた援助、励まし、称賛

○適切な表現活動の選択

(三) 楽しく学び合う学習集団の育成

学び合いの中では、学び合う相手としての友達の存在が大切になる。素直に友達の気づきや着眼の良さを喜び合える学習集団を育成したい。そのため、豊かな感動体験を基

盤としながら、以下の手立てを講じる。

○失敗体験の重視(失敗から学び失敗を乗り越える集団づくり)

○ 楽しく情報交換できる場の設定

 

三、実践の中から

 

(次頁参照)

 

四、おわりに

 

生活科を核とした学習活動を進める中で、子どもたちは確かに変わりつつある手応えを感じている。靴や衣服の汚れも気にせずどろんこ遊びに没頭する子どもたち、学校生活を離れても、小さな自然の変化に目を凝らし、歓声を上げては母親や教師に知らせに来る子どもたち……そんな姿の中に、「小さな大人」から本来の子どもらしい子どもへの変容を感じる。そして、「頭わかり」から、体を通して確かに学ぶ中で、たくましく生き抜く力をも身につけつつあるといった実感を抱いている。

また、教師はと言えば、子どもたちとの学びの中で多くの輝く瞳に出会い、とめどないエネルギーに圧倒されながらも、

「もっともっとこの子たちを見つめ、もっともっとこの子たちと豊かな学びを」

といったロマンを膨らませている。

 

 

 


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