教育福島0157号(1991年(H03)09月)-044page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

養護教育センター通信

障害のある子どもの理解のために 3

〜肢体不自由〜

 

人間は、身体を動かし様々な経験や体験を通して多くのことを学習します。

しかし、いろいろな原因で身体を自由に動かすことが困難な子どもたちがいます。このような子どもたちは、一般に肢体不自由児といわれ、学校生活はもとより日常生活も自分の力だけで行うことが困難な場合が多いのです。

歴史的にも身体の不自由な人たちは昔から存在し、役に立たない者として厳しい扱いを受けたり、慈善や医療の立場から一方的に保護されてきたことが多かったのです。現在では、同じ人間として尊重され、一人ひとりに応じて、能力を最大限に伸ばすための教育が行われ、可能な限り社会自立・参加をめざしています。

 

肢体不自由とは

 

肢体不自由とは、手足や身体に運動機能の障害があり、運動・動作が不自由な状態にあることをいいます。

 

神経・筋肉・骨・関節などの運動・動作に関係する器官が、種々の外傷や疾病で損傷を受けて、長期にわたり日常生活や学校生活を自立して行うことが困難な状態にあることです。この場合、外形上の形態やその原因は問題になりません。

−「心身障害児の理解」文部省−

 

身体の運動と動作

 

運動と動作は、どちらも身体の動きを表します。日常生活や学校生活を不自由なく行うためには、身体を自分の意図した通りに動かせることが必要です。物を取るために腕を伸ばそうとしても、腕が反対に曲がってしまっては物を取ることができません。つまり、身体が動くことと、意図通りに動かせることは意味が違ってきます。肢体不自由児の中には意図しないのに身体が動いてしまったり、動かそうとすると緊張が高まり、かえって動かなくなったりする子どもがいます。動くことを運動、動かせることを動作と考えればよいでしょう。

また、身体を動かすことと同じように、姿勢を保持することも生活の中では大切なことです。首を起こしておく、座っている、立っているなどができない場合も肢体不自由といえます。

 

身体の運動・動作のしくみ

 

身体を意識的に動かすためのしくみは次のようになります。

(1) 感覚器官で刺激や情報を取り入れる。

(2) 刺激や情報を中枢神経に伝える。

(3) 中枢神経で判断し、動作を意図・計画・命令する。

(4) 動作の命令を筋肉に伝える。

(5) 筋肉が収縮し、関節部分を中心に骨を動

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。