教育福島0161号(1992年(H04)02月)-009page

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もよかったのではないかという気がいたします。しかし、各々の論文一つずつを見ますと、なかなか根気よく、またうまいところヘ目を付けてよく調べられたなということは共通して言えることであります。今後とも、ぜひ、皆さん方が、自分の心の中に抱いた疑問というものを離さずに、よく自分で納得のできるところまで追い詰めて行くということを続けていっていただきたいという気がいたします。

そのためには、また、いろんなことを人から聞くことも大切でありますし、また、先程知事さんのお話の中にもありましたように、科学研究というのは、ただそれだけでいいとは言えない。人間としてより高い人間である必要があります。自分たちのやった科学的研究成果というものが、やはり世の中で正しく使われるようにしていくということを、一人の人間として努力を続けていくべきであります。そういう意味では、朝河貫一賞をお貰いになった方のお仕事なんかも是非参考にされて、人間としての考え方に磨きをかけることを同時にやっていただくことをお願いします。

繰り返します。是非、皆さん方、諦めずに、根気よく、自分で納得のいくところまでものを考えていく、調べる、ということを続けてください。明日の日本は、皆さんの肩にかかっています。

これで、ごあいさつに代えさせていただきます。

(平成三年度中学校・高等学校生徒の科学研究論文表彰式における審査委員長講評より 平成三年十月三十日)

 

受賞者を激励する西澤潤一東北大学長

 

受賞者を激励する西澤潤一東北大学長

(平成3年10月30日)

 

【略歴】

西澤潤一・にしざわじゅんいち

大正十五年 仙台市生まれ

昭和二十三年 東北大学工学部電気工学科卒業

昭和二十三年 東北大学大学院特別研究生

昭和二十八年 東北大学助手(電気通信研究所)

昭和二十九年 東北大学助教授(電気通信研究所)

昭和三十五年 工学博士(東北大学)

昭和三十七年 東北大学教授(電気通信研究所)

昭和四十三年 (財)半導体研究振興会 半導体研究所長(〜平成二年)

昭和五十八年 東北大学電気通信研究所長 併任(〜昭和六十一年)

平成元年 東北大学電気通信研究所長 併任(〜平成二年)

平成二年 四月、東北大学名誉教授

平成二年 十一月 東北大学長

【研究分野】

団体電子工学特に半導体電子工学

【業績】

半導体結晶の成長から、化合物材料の組成のいずれによって特性の変化が如何に現れるかを追究して、逆に殆ど完全な結晶の育成法を見出した。この結晶を用いた半導体のデバイスを発明、実現したが、主なものは、Pinダイオード、SIT(静電誘導トランジスタ)、SIThy(同サイリスタ)などである。物理現象としてのなだれ現象の発見や製造技術としてのイオン注入法の発明などがある。半導体レーザ、光ファイバ、光検波器の発明と研究で今日の光通信の基礎の殆どすべてを創案した。

【賞】

昭和四十九年 日本学士院賞

昭和五十八年 文化功労賞

ジャック・A・モートン賞

昭和六十一年 本田賞

平成元年 IOCGローディス賞

文化勲章 等受賞

【著書】

「闘う独創技術」(昭和五十六年)

「愚直一徹-私の履歴書」(昭和六十年)

「西澤潤一の独創開発論」(昭和六十一年)

「『技術大国・日本』の未来を読む」(平成元年)

「私のロマンと科学」(平成二年)等多数

 

 

 


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