教育福島0164号(1992年(H04)07月)-035page
研究対象の学級で認知面と情意面の二面からなるレディネステストを行い、これをもとに、A、B、C、Dの四つの学習タイプ(図2)に分け、主体的な学習活動の三要素を高める教材ソフトウェアを作成して、検証授業を実施し、その変容を測定した。
図2 学習タイプ
(一) 小学校「理科」(六年)
観察・実験等において問題解決活動の場面で、コンピュータを知的ツールとして活用した。単元の導入段階では学習内容の提示を主とした提示型のソフトウェアを使用し、展開とまとめの段階では問題解決に必要な情報を児童自らの力で選択し活用できるようなソフトウェアを使用した。コンピュータを活用した検証授業の事後調査から主体的な学習活動の三要素のうち「学習意欲」「情報活用能力」に高まりが認められた。「達成感・成就感」の変容は少なかった。
小学校の授業風景
(二) 中学校「数学」(一年)
コンピュータとそれ以外のメディアの組み合わせや生徒同士の話し合い(相談学習)が多くなるような学習場面で、コンピュータ活用の在り方を追究した。検証授業では、図形領域を取り上げ、問題解決のために必要な情報を生徒が主体的に選択し、利用できるソフトウェアを使用した。特に、作図の指導では、個々に作図の手法を習得させることに効果があった。検証授業の事後調査では三要素のうち「情報活用能力」に高まりが認められた。
中学校の授業風景
(三) 一高等学校「家庭科」(三年)
生徒の身近な生活情報を整理し、それらをコンピュータのデータとして蓄積するとともに適切に管理するためにコンピュータを活用した。生徒自身の身近な生活から発生したデータを処理するための一連の作業からそれまで気づかなかった新たな自分を発見した生徒が目立った。学習内容にあったコンピュータの活用場面を設定したことがよりよい効果をもたらしたと推測される。検証授業の事後調査からは、三要素のうち「学習意欲」「情報活用能力」に高まりが認められた。
四、まとめ
コンピュータは、児童生徒の主体的な活動を促すことに効果は認められるが、タイプによってその効果に差があるということが分かった。これは、コンピュータから提供される学習情報の受けとめ方やその情報への必要感が児童生徒の実態によって異なるということを意味している。コンピュータの利用によって児童生徒の主体的な学習活動を促そうとすれば、コンピュータの必要な場面を指導過程の中で適切に位置づけるとともに、児童生徒一人一人のニーズに応じて活用できるソフトウェアを開発することが大切である。
なお、詳細については、平成三年度福島県教育センター紀要をご覧ください。