教育福島0165号(1992年(H04)09月)-004page
文化の窓
県立博物館第3回企画展
「定信と文晁」−松平定信と周辺の画人たち−
会期10月17日(土)〜12月6日(日)
※期中月曜日休館。ただ」11月23日は開館、11月4日・11月24日は休館。
幕府老中をつとめ、寛政の改革で知られる白河藩主松平定信は文化的側面にも深い関心を寄せました。全国の古美術品を集大成した『集古十種』の編纂は良く知られているところです。また谷文晁や亜欧堂田善らの才能を見いだし、文晁には海防上の要求に応じられる綿密な風景図「公余探勝図」を西洋画法を用いて描かせました。田善に描かせた「新訂方国全図」は銅版画による詳密な世界地図で当時の最高水準を誇ります。
こうした一連の事業で実際に活動したのはいうまでもなく谷文晁や亜欧堂田善です。なかでも文晁は江戸画壇における重鎮で定信の信頼も厚く幅広い画技を学び独自の様式を創り上げました。また定信との関係から県下にもたびたび足を運び本県の近世画壇形成に与えた影響を忘れることは出来ません。亜欧堂田善をはじめ白雲・巨野泉祐・蒲生羅漢ら当地の画人たちは定信や谷文晁との文流を通して画技を高め優れた作品を遺しています。
このように松平定信や谷文晁の本県における文化史上の役割はきわめて大きなものです。本展は近年の調査により発見された新たな資料を含め、定信と彼の周辺の画人たちの文化的業績を紹介しようとするものです。
*記念講演
10月25日(日)午後1時30分
県立博物館講堂入場無料
演題「谷文晁の芸術について」
講師東京大学文学部教授河野元昭氏
*特別講演
11月22日(日)午後1時30分
県立博物館講堂入場無料
演題「松平定信の文化攻策について」
講師福島県立須賀川高校校長竹川重男氏
竹沢養渓筆・松平定信賛「古々呂双紙」市博物館蔵
白雲筆「磐城紀行図巻」神戸市博物館蔵
谷文晁筆「公余探勝図」東京国立博物館
松平定信筆「雲龍図」