教育福島0165号(1992年(H04)09月)-046page
年次休暇の繰越し使用の改正について
=育児休業制度の改善に伴い=
今回は、年次休暇の繰越しに関しその使用の一部が改正されたので、その趣旨について説明します。
改正のための通知文である「年次休暇の繰越し使用についての一部改正について」は、平成四年八月二十八日付け四教総第四一五号をもって発せられたところです。
この改正は、育児休業に係る制度が改められたことに伴い、年次休暇の繰越し使用について改善を図るためのものです。
まず、育児休業に係る制度について説明することとします。
新しい育児休業制度は、関係法令が制定されたことに伴う、条例の制定、さらに、これらに基づき育児休業等の承認を受ける場合の手続き等についての取り扱いを定めた取扱要綱の制定により実施されているところです。
具体的な関係法令及び条例、取扱要綱は、次のとおりです。
法令は、平成四年四月一日に施行された「地方公務員の育児休業等に関する法律」(平成三年法律第一一〇号、以下「新法」という。なお、平成四年三月三十一日以前の育児休業いての法を「旧法」ということにする。)及び新法の施行に伴う経過措置に関する政令であり、これに基づく、福島県としての条例は、「職員の育児休業等に関する条例」(平成四年条例第一一号)です。
県教育委員会は、これら法令及び条例に基づき、育児休業等の承認を受ける場合の手続きや、育児休業等の承認を受けた教職員の身分、服務、給与等、さらに部分休業等について、その取り扱いの全体的かつ基本的事項は、「育児休業等に係る承認申請手続等の取扱要綱」をもって定め、その他関係事項ごとに取扱要綱を制定し、平成四年三月二十三日付け四教総第一二〇号「教職員の育児休業等の承認手続き等について」として平成四年四月一日から施行させるべく通知したところです。
旧法に対し、新法における育児休業の制度上の主な相違点は、次の点にあると言えます。
一 すべての職員を対象とするものであること(非常勤職員、臨時に任用されている職員、配偶者が育児休業をしている職員、その他、条例で定める職員は除く)
二 任命権者によるそれまでの「許可」から「承認」として行われることとなったこと
三 部分休業が請求できることとなったこと
これらのことは、女子、男子の職員に係わらず全ての職員が、養育の必要に応じ申し出をすることにより育児休業を行うことができ、かつ通常の勤務日においても時間を限っての休業が可能になったことであり、旧法に比べ、極めて機能的かつ実効的なものとなったと言えます。
このことは、旧法においては、その目的を「女子の教職員及び 看護婦、保母等の職務の特殊性にかんがみ、 継続的な勤務を促進し 施設等の業務の円滑な実施を確保する」と規定していたのに対し、新法では、「子を養育する職員の継続的な勤務を促進し、もって職員の福社を増進するとともに、地方公共団体の行政の円滑な運営に資する」と、その目的を規定していることからも、その違いは、歴然としていることがわかります。
いわば、新法における育児休業制度は、男女の職員の福祉の増進を図るため、「育児休業を男女労働者の権利として保障」するものとして捉えるものであるとともに、地方公共団体の行政の円滑な運営に資するための制度として捉えるべきものと言わなければならないのです。
従いまして、今回の年次休暇の繰越し使用についての改正は、このような新法における趣旨を体し、育児休業により、職員に不利益が生じないようにずるため、暦年における全勤務日から当該育児休業の日数を除くこととしたものです。
なお、これの適用は、平成四年四月一日に遡ります。また、旧法(育児休務も含む)に係る経過措置も同様の適用を受けることになります。