教育福島0175号(1993年(H05)11月)-007page
提言
四十七年 郡山市社会教育功労賞受賞
五十九年 郡山市文化功労賞受賞
平成元年 第12回福島民報出版文化賞奨励賞受賞
四年 民友県民大賞受賞
五年 福島県文化功労賞受賞
〔著書〕
昭和三十九年以降、児童詩集「青い窓」「コップの底のお母さん」「キャベツの中の宇宙」「お父さんはとうめい人間」「ママもっと笑って」「子供の深い目」「おじいちやんおばあちゃんだいすき」を出版。平成三年には、詩エッセイ集「子供に学ぶ日々」を、平成五年には、「青い窓」のあゆみ「青い窓ことはじめ」を出版
一つのごみ
六年
赤井真由美
昨日、橋をわたっていた
ポケットに一つのゴミがある
軽いけど このまま入れておくのもしゃくだ
私はそう思って ゴミを川にすてようとした
手をはなそうとして“いけない”と思い
ポケットにガサッとゴミを入れた
前に川をそうじしたところだ
ゴミを川にすてることで
おこっていた私なのにこういう気持ちでついすててしまうのだろう
私は はずかしくなった人の心ってせまいなあと思って
家につっ走って帰った
「桜っ子詩集」より
ここでは、以前に川掃除をしていた自分と、ゴミを捨てようこした自分とが橋の上で出会ったのです。このような自分との由会いを繰りかえしながら体験はより深く刻まれ、やがてきちんとしたしつけに変っていくのでしょう。
禅に「門従り入る者は是れ家珍にあらず」という言葉がありよす。つまり、外部からきたものは単なる素材であってその人の血肉にはなりえないというのです。その人の身になるためには広い体験の中から適切な消化液を見つけ、又反廃することが必要です。こんなことを児童詩から学ばせていただきました。
平成5年11月3日 中川治男県副知事より晴れの表彰を受ける筆者(左)