教育福島0176号(1994年(H06)01月)-051page

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教育・イン・ザ・ワールド

−基礎・基本の充実と個性尊重の教育を求めて−

−基礎・基本の充実と個性尊重の教育を求めて−

国際化にふさわしい教育の話題をシリーズで紹介する「教育・イン・ザ・ワールド」今回は、文部省教員海外派遣団(第22団)の一員としてスウェーデン、ベルギー、アメリカの教育文化施設等を視察なされた小田省悟先生(船引高校)からのリポートです。

スウェーデンでは、小・中学校にあたる基礎学校の後、16のプログラムから自分に適しているコースを選択して学習する総合高校を見学しました。技術・職業系コースでは、即実践の専門的な力を養う実習主体の教育が、賛沢とも思われる施設・設備の中で展開されていました。ただ、不況や失業の傾向が強まる中、それらの専門職に就けない「出口」の問題や、難民受け入れに伴う他民族理解のため、従来以上に宗教教育に配慮しなければならないなど、国家事情が教育現場に大きく影を落としているようでした。

ベルギーにおいては、小学校終了時点で生徒の能力・適性を判断し、その後のコースを定めるといった、欧州ならではの能力主義が強く感じられ、生徒は理論系と技術系にはっきり分けられます。かつてのギルド社会にみられた「職業人」養成の伝統的な気風から、このようなシステムがさして抗抵なく成り立つのかもしれませんが、進路決定については、もう少し「モラトリアム」的な期間があってもいいのでは、などと日本のものさしで考えてしまいました。

州によって教育制度もやや異なるそうですが、訪れたアメリカ、ケンタッキー州の学校のシステムは、ほぼ日本と同様で、馴染みやすいものに感じられました。最近、他州にさきがけて取り組んだ教育改革の一つは、これまでの「講義」式の授業から、生徒が興味をもって主体的に「考える」授業への転換であり、また、中産以下の家庭の生徒にも手をゆき届かせる教育、とのこと。教室のしきりをとりはらったオープン教室等、斬新なアイディアがみられる一方、メンタルな「ソフト」面に改めて取り組んでいることがうかがわれました。

求[カス学校>ASO(進学)コースのクラス。同行の英語教師の話を聞く生徒たち。

<ベルギー:セントセントルーカス学校>ASO(進学)コースのクラス。同行の英語教師の話を聞く生徒たち。

<スウェ一デン:ゲルギンス力校>美容師コースの実習教室口

<スウェ一デン:ゲルギンス力校>美容師コースの実習教室口

<アメリカ:ベリア・コミュニティ高校>放射状型のオープン教室。

<アメリカ:ベリア・コミュニティ高校>放射状型のオープン教室。


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