教育福島0177号(1994年(H06)02月)-015page

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二、教職員の研修事業の概要

 

養護教育センターで実施する研修は、「基本研修(初任者研修・経験者研修)」と「専門研修」の二本立てになっています。これらは、いずれも、養護教育の今日的課題を十分に踏まえた内容となっています。

(一) 目的

養護教育センターが行っている組織的な研究や教育相談等の成果を生かした基礎的.基本的な知識及び技能の習得に関する研修を行い、養護教育関係教職員の資質の向上に役立てます。

(二) 内容

1) 初任者研修

新任教員に対して、現職研修の一環として、一年間の研修を実施し、実践的指導力と使命感を養うとともに、幅広い知見を得させることを目的としています。

研修は、次のように実施します。

○ 宿泊研修(三日ずつ二回)

○ 基本研修(二日)

○ 教育相談研修(一日)

2) 経験者研修1)

教職経験五年の盲.聾.養護学校教員を対象とした研修です。

3) 経験者研修2)

教職経験十年の盲,聾.養護学校教員を対象とした研修です。

4) 専門研修

心身障害児教育に関する専門的な研修です。講座によって受講対象は異なりますが、盲・聾・養護学校教員、小・中学校教員及び公・私立の幼稚園・保育所の教職員が受講できます。2)から4)までの研修は(表3)のとおりです。

 

三、調査・研究事業

 

本県養護教育の充実と伸展に役立てるための実践研究を行っています。

六年度の共同研究の内容は、心身障害児への指導援助の在り方とし、具体的なテーマを設定して研究を進める予定になっています。

研究については、研究紀要にまとめるとともに、例年どおり、二月中旬の養護教育センター研究発表会で発表します。

 

四、広報・啓発事業

 

養護教育や障害に関する理解を深め、温かい心が通いあう連帯に満ちた豊かな地域社会を築くための普及啓発を進めています。

(一) 「所報 養護教育」を年二回発行し、各種事業内容、養護教育に関する研究、講義録、研究者の声等最新情報等を紹介しています。

(二) 「心身障害児ハンドブック」を年次計画により発行しています。六年度は、「耳の不自由な子」を予定しています。

これらの発行物は、県内盲・聾・養護学校をはじめ、幼稚園、小・中学校及び県内外の関係機関等へ配布しています。

 

五、図書資料の収集.提供事業

 

養護教育関係図書及び資料の収集に努め、関係教職員、保護者等が積極的に活用できるよう、整備充実を図っています。

(一) 蔵書数は、五千数百冊あります。逐次刊行誌は、三十種類を購入し

ており、所内外で利用できます。

(二) 各都道府県の特殊教育センター等の刊行物、研究紀要等も収集しています。

(三) 心理検査実技等のVTRもありますのでご利用ください。

図書・資料等に関するお問い合わせは、来所又は電話等で行っています。

最後に、研修の中での、専門研修の主なものを紹介します。

○心身障害幼児教育研修講座

受講の対象は、国・公・私立を問わず保育所・保健所の職員、幼稚園・聾学校教員と多岐に渡っています。

毎年、夏休み中に二班編成で行われますが、このような研修は全国的にも余り例がなく貴重な研修の場になっています。

○心理検査実技研修講座

五年度は田中ビネー、六年度はWISC-R、その他各種の検査は、実技・演習をとおして行います。

実態把握のため、より正確な検査を実施し、指導の手がかりにと、受講希望者が増加しています。

○養護教育教材.教具実技研修講座

五年度から新設された研修講座ですが、受講者が多いということで、いかに障害のある子どもにとって教材・教具が重要視されているか知らされました。

○コミュニケーション障害教育研修講座

この研修講座の特色の一つは、「よい人間関係を作るために」と題したロールプレイングです。お互いに児童生徒になったり、障害児を抱える保護者になったりなど、いろいろな役割を演じることで、相手の気持ちを理解しようとするものです。「ことばの検査の実際」など、すぐに役立つ実技・演習が中心となっています。

○情緒障害教育研修講座

ここでは、自閉症児、学習障害児及び登校拒否児を取り上げ、医学や心理学の面から、そして教育の面から研究と実践に直接かかわっている先生方を講師として、お願いしています。

 

 

 


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