教育福島0188号(1995年(H07)07月)-013page

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認知面の相互作用を重視した学習が不可欠であることを確認して、児童生徒が思考力、判断力、表現力を駆使する学習過程を通して知識・理解、技能を獲得し、定着できるよう学習指導法の改善・工夫に努めていくことである。

そのためには、一教科や一教師による工夫・改善でなく、学校の組織として取り組むことが重要である。

具体的には、各学校における教育課程は、各教科、道徳及び特別活動についてそれらの目標を達成するよう教育の内容を学年に応じ授業時数との関連において総合的に組織した教育計画として編成し、それを更に具体化した指導計画を作成する。従って、基礎学力を向上させるためには、基礎学力向上のための計画(自校プラン)を作成する必要がある。

以下は、基礎学力向上自校プランのポイントになる事項である。

(1) 計画の段階

ア 基礎学力についての共通理解

学校が組織として、学校教育目標達成をねらって児童生徒の教育を行う以上、基礎学力についても教師一人一人、各教科においての基礎学力について共通理解に立ち指導に当たらなければならない。

イ 学力等の実態把握を行うこと

内容的には、子どもの実態把握と学校の実態を十分把握することである。その把握の例は、次のとおりである。

(ア) 児童生徒の発達段階をおさえたか。

(イ) 学習速度・学習スタイル等の個人差を把握したか。

(ウ) 関連する基礎学力の定着度を把握したか。

(エ) 児童生徒の学習体験、興味・関心等を把握したか。

ウ 基礎学力を明確にした指導計画の見直しと改善

学校としての計画と各教科における指導計画を作成し、評価計画及びその規準も設定する必要がある。例は次のとおりである。

(ア) 単元、題材で獲得すべき知識・理解、技能を明確にしたか。

(イ) 教材の系統性、発展性を考慮し、構造化を図ったか。

(ウ) 教科における基礎的・基本的な内容を分析し、基礎学力を明確にしたか。

(エ) 弾力的な指導計画にし、複数の教材を準備したか。

(2) 展開・補充の段階

ア 多様な学習活動の展開

児童生徒が個性を発揮しながら学習活動が展開できるようになるためには、導入においての工夫、展開における工夫やまとめの工夫などを様々な準備や工夫が大切である。その工夫の例に次のようなことが上げられる。

(ア) 本時における基礎学力を明確にしたか。

(イ) 連続性を大切にした導入の工夫を図ったか。

(ウ) 自分の考えでまとめる時間を確保したか。

(エ) 弾力的な学習過程の展開と多様な学習形態を工夫したか。

(オ) 問題解決的、体験的活動を準備したか。

(カ) 知識・理解、技能の定着を図る手だてを位置付けたか。

イ 基礎学力の定着を図るための補充活動

児童生徒に基礎学力を定着させるためには、練習時間や活動の場の保障とともに、次の学習活動に本時の学習の成果と課題を明確にしておかなければならない。いわゆる指導と評価の一体化である。ポイントの例は次のとおりである。

(ア) 学習進度に応じた課題活動等段階的な手だてを図ったか。

(イ) 追指導への配慮等指導への即時的フィードバックを図ったか。

(ウ) 練習活動の場を設定するとともに練習時間を保障したか。

(エ) 学習成果を次の学習に活用できるよう適切な評価をしたか。

(3) 深化・発展の段階

基礎学力の向上に向けた深化・発展活動の最も基本になることは、児童生徒一人一人の個に応じた諸活動の工夫をするということである。次は、その例である。

(ア) 個に応じた朝や放課後での練習活動を計画したか。

(イ) 個に応じた家庭学習での練習活動等を計画したか。

(ウ) 基礎学力活用の場面を設定したか。

(エ) 練習活動の日常化を図ったか。

(オ) 図書館や他の施設等を有効に活用する計画を立てたか。

(カ) 基礎学力の定着度をチェックし個に応じた助言・援助を行ったか。

 

四 道徳教育の充実

 

1 新しい学力観に立つ道徳教育

現在、学校教育においては、いじめ問題や人権問題の解決、生命尊重の教育の充実など児童生徒の心の教育の充実が大きな課題となっている。

このような課題をふまえ、新しい学力観に立つ教育においては、児童生徒一人一人が、人間としての生き方について自分の考えをしっかりもち、自分のよさを生かして豊かな自己実現を図っていけるようになることを目指している。

新しい学力観に立つ道徳教育を一

 

 

 


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