教育福島0193号(1996年(H08)02月)-004page
文化の窓県立美術館平成8年度第1回企画展案内
『六美博物館肉筆浮世絵名品展』
4月27日(土)〜6月2日(日)
ロンドンの大英博物館は、ヨーロッパ最大の日本美術コレクションで知られています。特に浮世絵作品の質の高さは、日本国内を凌ぐほどと言われています。今回は、その中から肉筆浮世絵の名品ばかりを選りすぐって紹介します。
肉筆浮世絵とは、肉筆画の浮世絵という意味で、普通に描かれた絵画です。浮世絵は版画、版、本の数が圧倒的に多く、絵師、彫師、摺師の共同作業によって大量生産されるのが普通です。
これに対して肉筆浮世絵は絵師が一点一点筆をとったものです。それだけに遺品も少ないため、今回の大規模な里帰り展は肉筆浮世絵に触れるまたとない機会と言えます。
菱川師宣、宮川長春、西川佑信、喜多川歌麿、歌川豊国、葛飾北斎など江戸時代初期から幕末までの浮世絵師の代表作を一堂に会します。魅力あふれる美人画を中心に、風俗画、役者絵など130点あまりの名品によって、江戸文化の粋が堪能いただけます。
また、今回の展覧会では、大英博物館所蔵の膨大な下絵、素描類の一部を紹介するのも特徴の一つとなっています。完成された版画との比較は興味深い試みとなるでしょう。
▲渓斎英永「手鏡を見る美人図」
▲松野親信「遊女立姿図
▲菱川師宣 「芝居茶屋遊楽図巻」