教育福島0194号(1996年(H08)04月)-004page

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重要文化財から国宝へ

木造薬師如来及両脇侍像 三躯

室町初期に建てられた本寺薬師堂(国指定重要文化財)の本尊として祀られている薬師半丈六像と等身両脇侍像を重要文化財から国宝に新指定する旨を国の文化財保護審議会から文部大臣へ4月19日に答申されました。

本薬師三尊像は、早く明治36年4月15日付けで旧国宝の指定を受けているもので、平安初期にケヤキ系の一材一木造で本躯の大略が造られ、また中尊の葡萄唐草を表した蓮弁形二重円光の杉製の光背、仏を乗せる宣字座(須弥座)とも古材を用いて当初の形式を踏襲しているものです。特に中尊の割矧造はこの種技法の最古の例として、我が国の彫刻史を語る上で必須の存在として注目されているものです。

本三尊像は、既に国宝に指定されている神護寺(京都府)や新薬師寺(奈良県)の薬師如来立・坐像などの8世紀末から9世紀の名品と同様に一つの峰を形成しうる完成度の高さと独自性を有し、平安初期造像の水準の高さを示す孤高の優作であり、この時期の祖像の多彩な展開を物語る傑出した遺例といえるものです。

本県の国宝は建造物の願成寺阿弥陀堂(白水阿弥陀堂・いわき市)と典籍の一字蓮台法華経開結共(龍興寺・会津高田町)と合わせ3件になり、東京都を除いた以北で、国宝の彫刻では初めての指定となります。


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