教育福島0196号(1996年(H08)07月)-016page

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一人一人の児童生徒が集団の中で生き生きと活動できるように支援することが重要である。

 

2 真の児童生徒理解に立った指導の展開

 

各学校では、児童生徒の健全な発達を目指して日々努力している。しかし、指導や対応が表面的であったり、行き違いがあったりして、児童生徒の自己実現が疎外されていることも少なくない。児童生徒理解は指導援助のための最も重要な前提である。どれだけ深い理解を教師が持つことができるかが、支援を進める鍵である。児童生徒との人間的な触れ合いを基盤として、次の点に留意すべきである。

○児童生徒は絶えず成長する存在だということを認識し、児童生徒のよさを積極的に見い出す視点で理解を進めること。

○発達に伴う児童生徒の変化や特徴を把握しておくこと。

○児童生徒が、自分自身のことや自分を取り巻く人々をどう受け止めているか、という自他の認識の程度を把握しておくこと。

学校では、児童生徒に共感的な理解を示し、児童生徒の立場に立って、人間味のある指導・援助が行えるよう教師自身の在り方や指導体制について、常に改善の努力をすることが求められている。

 

3 児童生徒の立場に立った教育相談の推進

 

成長過程にある児童生徒の多くは、友人関係や学習状況などについて、様々な不安や悩みをかかえながら学校生活を送っている。

児童生徒が不安や悩みを解消しながら意欲をもって自己を発揮できるようにするためには教育相談を計画的にあるいはタイムリーに進める必要がある。

学校における教育相談は、話をよく聞き、一人一人の児童生徒をありのままに受け止め、そのよさや積極的な面を評価し、理解して、児童生徒がそれを伸ばしていくことができるように支援することである。

このような教育相談が積極的に行われるとき、児童生徒の悩みが解決されるばかりでなく、問題行動などの早期発見にも大きな役割を果たすことになる。

特に、児童生徒に最も身近で、触れ合いやかかわりを持つ機会の多い学級担任教師や養護教諭の果たす役割は大きい。日常の教育活動の中で状況に応じた多様な相談活動を柔軟に展開していくことが大切である。

 

4 望ましい学級集団の育成

 

一人一人の児童生徒が自己実現を図り、楽しい学校生活が送れるようにするには、よい学級集団を育成することである。

児童生徒が不安に惑わされることなく、友人と協力して活動する中で、自分の存在意義を感得し、所属感や連帯感を自覚したとき、児童生徒は意欲的になり、学級集団を更に向上させようとする。そして、建設的で支持的風土に満ちた学級集団の中で児童生徒は、友人との様々なかかわりを通して、社会性を養い自己理解を深めることになる。

従って望ましい集団活動が、十分に展開されるような学級集団の育成に努めることが大切である。

 

5 いじめ問題や学校不適応問題の解消

 

いじめの問題は、児童生徒の健全な成長にとって、看過できない影響を及ぼす深刻な問題であるとともに、人権に関わる重大な問題であるので、学校挙げた全教職員の真剣な対応が必要となる。

各学校では、いじめあるいは、いじめまでには至らないがその萌芽的なことは、どこの学校にもあるという認識に立ち、学校を挙げて「いじめは絶対に許さない」「いじめをすぐにやめさせるよう十分な指導を行うとともに、いじめられている児童生徒を援助し、いじめが行われなくなるまで見守る」こと等、いじめに対する認識を繰り返し確認すべきである。

そして、見えにくいいじめであるだけに、日常的に観察や点検を行い、取り組みの在り方について不断に見直しを行うとともに、特に次のような点を踏まえて取り組みを強化していく必要がある。

(1) いじめについては、担任だけに任せることなく、いじめ対策委員会等を校内に設けて、学校挙げて取り組む実効性のある指導体制の確立を図る。

(2) いじめる側への指導、いじめられている子への徹底した援助指導を行い、児童生徒一人一人が自己存在感を持てる学級経営に努める。

(3) 日常生活の休み時間や昼休み時間など、自由に話し合ったり、遊んだりして一人一人の児童生徒相互あるいは教師との触合いを大切にし、一層の児童生徒理解に努める。

(4) 協力協調して活動できる、集団活動や体験活動などを取り入れ、児童生徒一人一人のよさや可能性を互いに感じ取れるようにするとともに、人権尊重の教育の充実を図る。

(5) 「開かれた学校との観点に立ち、家庭や地域との連携強化を図り、「いじめ問題」に対する理解を深めるとともに、学校と家庭や地域における児童生徒の様子について、

 

 

 


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