教育福島0204号(1997年(H09)07月)-004page
文化の窓
戦後フランス美術の巨人芸術はどこまで自由になれるだろうか。
1997年9月6目土〜10月5日(日)
第二次世界大戦後の美術は、国際化、抽象化の大きなうねりの中で、急激な変貌をとげていきます。ジャン・デュピュッフェ(1901-1985)は、戦後のヨーロッパ美術の出発点となったアンフォルメル(不定形絵画)運動の先駆者として、戦後美術に絶えず大きな影響を与えた作家です。
デュビュッフェは、フランスの港町、ル・アーヴルのワイン商の家に生まれ、戦前は何度か画家を志しますが果たせず、戦後40歳をすぎて画壇に登場した遅咲きの作家でし鵡正規の美術教育はほとんど受けなかった彼が、最も影響を受けたのは、美術や文化の世界とは無縁だと思われた精神障害者などの作品です。デュピュッフェは、そうした作品を、<生の芸術(アールーブリュット)>と名付け、人間の純粋な欲求に基づく根元的な表現衝動として高く評価するとともに、この芸術の示す美術のあり方を生涯にわたり実践したのです。それは既成の価値観がゆらぐヨーロッパにあって、大いに注目され、実存主義的な思潮の高まりとあいまって、日本を含む現代の美術に多大な影響を与えていったのです。
この展覧会では、多様に変貌するデュビュッフェ芸術を、4期によって振り返ります。初期の原初的な具象作品から、戦後の重厚なマチエール(絵肌)を追究した抽象作品、1960年代以降急激に変貌した、ウルループとよばれる軟体動物や細胞をおもわせる作品群、そして最晩年のより純化した抽象作品まで、デュビュッフェ財団所蔵作品を中心とした代表作により展観します。
日本初公開作品を含む、絵画、水彩素描、版画、立体作品など155点により、何ものにもとらわれない、自由なデュビュッフェ芸術の魅力をぜひご堪能ください。
観覧料 一般・大学生840円(680円)/高校生630円(47O円)
小・中学生420円(310円)
※( )内は20名以上の団体料金
ギャラリートーク 1)9/1214:00〜 2)9/27(土)11:00〜
問い合わせ:福島県立美術館
〒960福島市森合字西養山1番地
TEL0245-31-5511/FAX31-0447
クロッシュポッシュ 1973年原型
帽子の試着 1943年
石の地形図 1958年
農夫のいる光景 1966年
偶然の出来事 1980年