教育福島0222号(1999年(H11)10月号)-050/52page
ふるさと探訪
県指定重要無形民俗文化財
檜枝岐歌舞伎(ひのえまたかぶき)
所 在 地 南会津郡檜枝岐村字居平六六三番地
保護団体 千葉之家花駒座
檜枝岐歌舞伎は、毎年五月十二日の愛宕神社祭礼と八月十八日の駒形大明神・燧大権現の祭礼に、境内にある舞台(国指定重要有形民俗文化財)で演じられます。
地芝居はプロの歌舞伎役者が演じる歌舞伎とは違い、地域の年中行事として一般の人々によって演じられる歌舞伎です。南会津では、各地で地芝居の一座が結成され演じられてきましたが、現在では槍枝岐の千葉之家花駒座のみで継承され、演じられています。
檜枝岐歌舞伎の始期を示す明確な資料はありませんが、寛政〜文化・文政期(十八世紀末〜十九世紀初め)にかけて伊勢参りに行った村民が習得したという伝承もあります。また寛保元年(一七四一)や明和六年(一七六九)の歌舞伎台本もあり、江戸中期まで遡れる可能性もあります。
演目は九演目が継承されていますが、そのうちには、地元の方が南山義民伝を芝居化した「南山義民の碑─喜四郎子別れの段」というオリジナルな演目もあり、無形民俗文化財として末永く継承されることが期待されています。
神霊矢口の渡 八郎物語の段
県指定重要文化財(古文書)
陽林寺文書 三通
(ようりんじもんじょ)附 陽林寺開祖盛南舜せき大和尚行状 一巻
(つけたり ようりんじかいそせいなんしゅんせきだいおしょうぎょうじょう)
所在地 福島市小田字位作山一三番地
所有者 宗教法人陽林寺
陽林寺は福島市小田にある曹洞宗の古刹で、西山城主伊達稙宗がこの地の坐禅石で禅を組む僧舜せきに出会い、その学徳の深さに私淑し、ここに七堂伽藍を創建して寺領を寄進して成立した寺院です。
今回指定した文書は、1)永正十年(一五一三)桜田宗敏証状、2)大永八年(一五二八)牧野常仲証状、3)天文五年(一五三六)伊達稙宗証状の三通です。1)は稙宗の臣桜田宗敏が舜せきに寺地を寄進し、段銭諸役を免除した文書。2)は稙宗の臣牧野常仲が陽林寺へ居屋敷を寄進し、毎日の祈願勤行を依頼した文書。3)は陽林寺門前の家数十七について棟役を免除したことを示す文書です。陽林寺の成立・発展の経過を示す史料として貴重であるばかりでなく、植宗が梁川城から西山城に移転した時期や伊達氏の分国法である「塵芥集」の制定・追加等の史実の究明についても有用な史料です。
陽林寺は福島市の史跡及び名勝に指定されており、山門や坐禅石、奉納額、伊達実元の墓など、広い境内には見るべきものが多数あります。
天文5年4月29日伊達稙宗証状