教育年報1959年(S34)-048/121page
C 学校訪問の着眼点
a,学校管理経営の改善
(1)教育計画 (2)学校長の管理指導
(3)環境構成 (4)指導時間の確保
b,学力の充実
(1)教育課程 (2)学習指導法
(3)教育評価
c,生活指導の徹底
(1)道徳教育 (2)ホームルーム
(3)クラブ・生徒会活動
(4)個人指導
(5)校外指導
d,教職員資質の向上
(1)自己研修 (2)校内研修
(3)勤務態勢 (4)研究会講習会等の実施と参加
D 所 見
昭和31年度以来,年を重さねるにしたがって,この計
画の趣旨が徹底し,指導管理運営の改善に努力が加えら
れ,学校教育の進歩向上に資した点は大きい。
運営の面において,多くの困難をともなう総合高校の
川俣高校においては,教職員の校内研修によって一般な
らびに専門教科の教養を深め,指導面に刷新をはかり,
須賀川二高,白河二高の各校においては夜間課程の生徒
の学力向上と健康管理に努力し,岩瀬農高においては鏡
石農場の機械化農業経営に,また双葉農高においては勤
労青年教育を基盤としての農業科,家庭科の経営にそれ
ぞれの特色がみられたのに対し,大規模な女子高校とし
ての磐城女子高と男女共学の坂下高においては普通高校
としての教育水準の向上にくふうがなされているを高く
評価した。また,平盲ろう校の教員が身体不自由な児童
・生徒に対して精魂をかたむけている指導技術と人間愛
に徹した教育的な熱情には感銘深いものがあった。
施設・設備の整備については,不如意な教育予算のた
め如何ともなし得ないが,ある学校においては,やや力
のだしおしみが認められた。また,生活の条件に再まれ
ない夜間高校生徒のために,明るい,こころよい環境の
なかで学習ができるように,施設や照明等に一段のくふ
うがほしい。高校教育における最も大きな問題点は教育
課程の編成である。生徒の進路や地域の実態に即応した
教育課程のくみ方に意を用いるべきである。
次に,中・高校卒業生の農水産業方面の就職率は昭和
24年度の40%から昭和33年度の22%に減じ,これに代っ
て商工業が漸増している傾向であるので高校の教育内容
の編成に意を用いるべきである。殊に農業科に依存し
ている定時制分校の不振はここに原因があるように思わ
れる。
総体的にみて,何れの学校においてもその特色に応じ
た努力がなされているのを認めることができた。
9 教科書の管理運営
A 教科書採択研究事業
a,研究の目的
この教科書採択研究事業は,各教科書センターにおい
て,それぞれの地域で使用するに適した教科書を,実際
に選択する観点から,選定,採択の対象となるすべての
教科書について,綿密周到な共同の比較研究を行い,そ
の成果を教科書センターに備えつけることなどにより,
その地域における教科書の選定,採択に際し有益な参考
資料として利用されることを期し,もって教科書の適正
な採択の遂行に資するものである。
b,研究の対象
本年度の研究は,各センターについて小・中学校教科
書のうち1種類とし下記のとおり研究を進めた。
センター名 学校種別 研究教科 センター名 学校種別 研究教科 福島 小 国語 田島 中 英語 保原 中 理科 会津若松 中 図工 二本松 小 社会 喜多方 中 保健 郡山 中 音楽 会津坂下 中 国語 須賀川 小 図工 平 中 家庭(5) 白河 中 数学 富岡 小 理科 石川 中 社会(甲) 相馬 小 算数 三春 中 職・家(2)
c,研究の進め方
研究参加者は,各教科書センターを中心とする出張所
の指導にもとずき管内小・中学校教員が各種目ごと5名
として依嘱した。
この研究は常に研究参加者による綿密な共同研究およ
び討議により行われ,適宜種々の研究討議のための会合
をもつようにし,それが有機的に組立てられ,研究がま
とめられるようにした。
d,研究実施の時期
各出張所の指導により,各教科書センターごとに定め
たが,34年度4月はじめから7月末日までとし,採択の
資料として利用できるようにした。
e,研究結果の処理,
研究結果は各種目ごとそれぞれ,4百字詰め原稿用紙
50〜100枚程度の報告書にまとめ,管内各小・中学校に
配布するとともに,県教委に5部を提出し,そのうちよ
り文部省へ各2部送付した。
f,教科書研究についての反省
各教科書研究員は校務外の仕事として研究にあたった
が,各教科書をこのように比較研究することはなかった
ので,指導の上に参考になったとの声が多かった。しか