教育年報1959年(S34)-099/121page

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§ 8  県立図書館

  1総説

 昭和34年度をふりかえって見ると,大きく変ったと思

われる点が,幾つかある。その第一点は,昭和34年12月

から,土曜日の半ドンと日曜日の全休を,A班及びB班

の二つにわけて交替で勤務することとしたことである。

その第二点は,新しい図書館にふさわしい関係諸法規を

ととのえて,利用者及び職員の便をはかろうとしたこと

である。その第三点は,都道府県立図書館の,(1)予算,

(2)職員,(3)ブックモビール,(4)及び土曜日の開館状態を

調査し,あわせて本図書館の日曜日を休館日とすること

についての予備的調査を行ったことである。

A,従来の本図書館職員を大別すると,常に土曜日の半

ドンと日曜日の全休を満喫できる職員と, その同じ味

を全然味おうことのできない職員とに別けることができ

る。こういう二つの峻別は,人間関係の上で,微妙な雰

囲気を生むのが必然である。そこで全員が協議して,も

う少し公平に土曜日の半ドンと日曜日の全休を勤務する

ことは果して不可能だろうか,と話合って見た。その結

果がA班とB班の誕生ということになり,従来の館内奉

仕係に加えて,館外奉仕係,整理係,及び総務係からも

これに参加することになった。12月の実験期も過ぎ,遂

に1月も2月も3月も過ぎてしまった。が,みんなスム

ースにいったとはいえない。第一の困難は,土曜日の半

ドンと日曜日の全日を勤務する職員が,延人数にして従

来の倍近くになってきたのであるから,その代休をポツ

リポツリと取らなければならない。そのために,館内

奉仕係以外の業務が常に手薄になったことは否定できな

い。第二には,ボイラー焚きがたった一人で,休日なし

に働かねばならないわけである。しかし,人道上も,労

働基準の上からいっても,冬の間だけ無休ということは

できない。そこで,職員の中から俄かづくりのボイラー

焚きを養成して,ボイラーのほうに廻わすとともに,市

の公会堂の職員にも手伝ってもらって,暖房という業務

は無休だったわけである。このことは電話交換手につい

てもいえる。こういうやりくりは,職員に対してかなり

無理を強いて来た。

B,新しい図書館にふさわしい関係諸法規を,昭和34年

度中には一切ととのえるという予定のもとに,いわゆる

「教育関係者必携」昭和34年度版からは,従来の古い図

書館関係の諸法規を一切除外してきた。

 昭和34年10月1日,まず「福島県立図書館組織規則」

が施行され,館長,次長,及び総務,整理,奉仕の三係

長,その他の職員,それから各係の職務内容等が明かに

された。昭和35年1月13日には,「福島県立図書館設置

条例」が施行され,従来の「福島県立図書館に関する条

例」 (昭和25年福島県条例第53号)は廃止された。新し

い条例の特長は,(1)分館の所在地を明確にしたこと。(2)

他の法令等で明確になっている点の重複を除去したこと

この二つである。

 上記の「組織規則」及び「設置条例」に次いで,制定

実施を急いでいる関係法規類は,「福島県立図書館利用

規則」と「福島県立図書館処務規程」 である。前者の

「利用規則」は,外部から図書館に来て,図書館資料及

び図書館施設を利用しようとする利用者のためのもので

あり,後者の「処務規程」は,図書館(分館も含め)の

内部で勤務する職員自体のためのものである。だから前

者が表の規則なら,後者は裏の規則である。

 それから,もう一つ残っているのは,「設置条例」が

1月13日に施行されたことによって,それ以前に施行さ

れた「組織規則」の一部が必然的に改正されることである。

 「利用規則」,「処務規程」,及び「組織規則の一部

改正」に関する原案は,秘書室及び知事部局の文書広報

課の温い指導と援助のもとに,準備の一切を完了している。

C,都道府県立図書館の(1)予算,(2)職員,(3)ブックモビ

ール,及び(4)土曜日と日曜日の開館状態の調査について

は,それぞれの表(調査結果の一部)と解説をごらん願

いたい。

 (1)について一言附加するなら,館員一人あたりの人口

が多いところは,県民一人あたりの図書費も少いこと

が,非常にはっきり出ている。いいかえると,職員の

比較的に多いところは,図書費も比較的に多いのであっ

て,この点,本県はもちろん,北日本の後進性は図書館

に関する限り認めないわけにはいかない。

(第一表参照)

D,「日曜日を休館日とすることについての予備的調

査」は,一部の有識者から傾聴すべき意見を聞くことが

できて,集計された調査結果そのものより,遥かに大き

な収獲があったように思う。図書館の内部においても,

県立図書館に対する考え方や要求というものを,もう少

し明確にしていかなければならない段階に来ているので

はないか。


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