教育年報1960年(S35)-009/135page
E 県教組との交渉
昭和35年度における県教組との交渉について,本年度
主として問題になったことは,6月の教科書問題であっ
たが,例年にくらべて比較的平穏にすぎることができ
た。その経過を次にのべる。
4月11日 要求書提出
内容
a,給料,諸手当を増額されたい。
b,学校管理規則,処務規程を検討されたい。
c,教科書の自主採択制度を確立されたい。
d,「君が代」の復活を中止されたい。その他
4月21日 申人書提出
来る5月11・12日両日にわたり天皇,皇后の歓迎
準備を即時中止されたい。
5月18日 午後1時〜3時30分
場所 教育長室
内容 去る4月11日提出の要求書に対する当委員会の
回答について話し合いが行われた。当委員会の回
答要旨は次のとおりである。
a,教科書関係について
教科書の採択方式については,市町村教育委員会と
もよく話し合って良好な採択ができるようにしたい。
教科書選定委員の選出は市町村教育委員会の権限であ
る。
b,管理規則について
管理規則については,組合側と小委員会を構成して
内容を検討する考えはない。組合で意見があったなら
係に話してもらいたい。その他
6月14日 午前11時〜午後4時
場所教育長室
内容 教科書問題について
これは,5月31日に,公正取引委員会小林事務官が
来県し,県教組と話し合いをしたことが6月1日の新
聞に掲載されたことについて話し合いがなされた。
県教組は「5月31日,小林事務官との話し合いの際
に,同事務官は
◎ 教科書問題に関して福島県は恥部である。
◎ 本県の限定採択については疑問がある。
◎ 本県と宮城県とは全国でもやり方がひどい。県教
委が介入している。」とのべた。
これに対して教育長は
「5月31日に小林事務官が立ちよって話し合ったとき
きには
◎ 出身県であるので調査にきた。
◎ 本県の教科書関係で問題になることは何もつかん
でいない。」
としかいっていない。
◎ また,本県の行なっている共同選定は全国で81パ
ーセントも採用している。(36年度使用教科書の採
択要項参照のこと。)」
とのべた。
県教委では小林事務官の発言を調査するため,職員
を派遣して面談したところ,県教組との発言と相当食
いちがいを見ることができた。すなわち
◎ 「教科書問題は教育界の恥部である。」とはいった
が,特に福島県をさしていったのではない。教科書
会社の売込みに影響されるところが大である全国的
な傾向をいったものである。
◎ 本県の限定採択については疑問があるとはいって
いない。公取委としては,限定採択であろうが自由
採択であろうが関知したことではない。
◎本県と宮城県はやり方がひどいとはいわない。教
科書会社のやり方がひどいといったのである。
また,「県教委が教科書採択について介入している」
などはいっていない。
以上のことは,さらに書面によっても回答されている。
6月28日 午前11時30分〜午後1時30分
場所 教育長室
内容 教科書問題についての小林事務官の発言をめぐ
って話し合いが行われたが,内容は前のくりかえ
しなので詳細は省略する。
なお,この話し合いの最中に,教科書に関するいわ
ゆる怪文書が各学校,その他の関係機関に投ぜられ,
本日より引続きこのことについて県教組と話し合いが
行われた。
8月25日 午前10時〜12時
場所教育長室
内容 勤務評定について,その他
a,勤評の効果について,県教組は効果なく,幣害が
多いと発言したが,当委員会では勤評については人事
管理の客観的な資料が得られ易いし,有効であると信
じていると答えた。
b,また,組合は効果についての調査資料によって判
断すべきであるというが,当委員会としでは,解答用
紙の収集のみが客観的な資料とはならない。各関係機
関並びに管理者の意見は有力なる資料であるとのべた
c,教科書の採択について,学校が自主的に行えない
との組合の発言に対し,採択については市町村教委の
権限である。市町村教委と学校とでよく話し合うこと
が必要であると答えた。
d,教育課程研究協議会は効果がないので中止してほ
しいとの要望に対して,効果は充分にある。方法上改
善することは今後も考えたいと答えた。
8月31日 午前10時10分〜午後1時20分
場所 県庁3階会議室
内容 勤務評定について
a,現在実施されている勤評について
b,勤評を人事の面でどのように活用しているか。
c,勤評による効果はどうか。勤評を給与に関係させ
ることはないか。
d,勤評審議会を設ける考えはないか。
e,その他
9月6日 午前11時〜正午
場所 教育長室