教育年報1960年(S35)-050/135page

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(6)教育課程と授業後数

 各校とも授業時数の確保に努力をしている。しかし県

の承認をうけた教育課程計画表と実施時数は一致するよ

う努力すべきである。

(7)学習指導

 能力別学級編成校においては,それぞれの特色ある教

科と授業の組み合わせにくふうをし,進学組が予備校化

しないように,また就職組が劣等感をもたないよう極力

注意,くふうしなければならない。

 学習指導法は小・中学校に比較して劣っている。教壇

で教師のみが独走している教室が多くみられた。また,

教具の活用についてのくふうが不足であるし,一般に板

書が粗末である。

 生徒の学力と教科書の取扱いにはじゅうぶん留意し,

さらに教育課程との関係を検討できるような余力がほし

い。少数の女子を収容している男子を主体とする学校の

うちに,家庭科の施設設備の不備から家庭科授業を軽視

する傾向があるようにみられた学校もある。女子生徒の

家庭科教育の重要性を認識し早急に設備が充実されるよ

う学校長に要望したい。

(8)生活指導

 生活指導の面で問題になる生徒は進学とも就職とも決

定しない心のうつろな生徒に事故がおこっていることが

生活指導の記録に散見する。教科の指導は勿論大切であ

るが,特に教育活動に対する教育的な価値の判断と指導

の実践性が教師に不足しているところがら生ずるように

もみられる。

 また,予備校化するおそれのある進学を主とする普通

高校において人間形成の場となり時となる特別教育活動

を軽視することは砂上楼閣にも似た人間教育である。

 しかし,低調であるとされている高校の特別教育活動

のうちに ふくまれる生徒会の動向には,特に注意をす

べきである。政治や思想の研究は自由であるが,学校内

の生徒の個々の研究活動が,自主性や自発性を助長させ

るのを目的とする生徒会が教師や先導格の一部生徒のた

めに誤った指導となって学校外の政治活動と結び付けら

れないように学校長は関係教員とともに注意しなければ

ならない問題である。

  10教科書の管理運営

A 教科書採択研究事業

a 研究の目的

 この研究事業は,教科書センター設置以来実施された

ものであり,各教科書センターにおいて,それぞれの地

域で使用するのに適した教科書を実際に選択する観点か

ら,選定採択の対象となるすべての教科書について,綿

密周到な共同の比較研究を行い,その成果を教科書セン

ターに備えつけるなどにより,その地域における教科書

の選択の参考資料とするものである。

b 研究の対象

 本年度の教科書研究は,明年度より実施される小学校

教育課程改訂にともない小学校教科書が全面的に新版と

なったため,小学校用教科書について研究することとな

った。中学校教科書については36年度の研究となる予定

である。本年度研究対象となる教科書と発行点数はつぎ

のとおりである。

国語  11種 138点
書写 硬筆11 84
毛筆14 42
社会 7 59
地図 8 79
算数 11 123
理科 10 79
音楽 10 60
図工 9 54
家庭 10 19
101 666

   

 なお中学校教科書は改訂,新版はなく昨年と同様であ

る。

 研究については,各センターに4〜5種類,つぎのと

おり依頼した。

センター名 研究種目  
福島 社会 地図 図工 理科  
保原 算数 音楽 社会 地図  
二本松 算数 国語 書写 音楽  
郡山 理科 国語 書写 図工  
須賀川 社会 地図 算数 理科  
白河 理科 社会 地図 音楽  
石川 理科 国語 書写 図工  
三春 社会 地図 算数 理科  
田島 国語 書写 社会 地図 音楽
会津若松 社会 家庭 理科 音楽  
喜多方 国語 書写 算数 図工  
会津坂下 理科 算数 音楽 家庭  
書写 算数 図工 国語  
富岡 国語 書写 音楽 算数  
相馬 理科 社会 家庭 図工  

c 研究の角度

 研究参加者は,当該教科書センターを中心とする出張

所の指導によって算内小学校教員が各種日ごと5名とし

た。

d 研究の進め方

 各出張所の指導により,当該教科書センターごとに定

めたが,本年度は5月はじめから7月末日までとし,採

択の資料として利用するようにすすめた。

e 研究結果の処理

 研究結果は各種目ごとそれぞれ400字詰め原稿用紙20

枚程度の報告書にまとめ,各管内各小学校に配付すると

ともに,県教委に5部提出し,そのうち各教科3種類を

 2部ずつ文部省に送付した。

 本年度は各センター間の研究物の支換は行わなかっ

た。


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