教育年報1967年(S42)-035/194page
第2節 奨学育英
1 福島県奨学資金貸与制度
この制度は、福島県出身の高等学校生徒または大学の学生で、
能力がありながら経済的理由により修学困難と認められる者
に対し奨学資金を貸与し、もって教育の機会均等をはかり、
健全な社会の発展に資することを目的として昭和27年に発足
したものであり、その実施状況は次のとおりである。
(1) 出 願 資 格
1) 福島県内に所在する高等学校または高等専門学校に在
学中で福島県内に引続き6ヵ月以上居住している者。
2) 大学の学生で、福島県内の高等学校卒業者または大学
入学資格検定合格者(合格時に福島県内に住所を有して
いた者)でかっ大学入学まで、または大学入学の目的を
もって住所を移転するまで福島県内に引続き6ヵ月以上
居住していた者
3) 品行が正しく、学術にすぐれ、身体強健である者。
4) 他の奨学金の貸与または給与を受けていない者。
(2) 奨学資金の貸与額
高等学校生徒 (高等専門学校生徒を含む)
41年度予算以前の採用者 月額 1,500円
42年度予算以後の採用者 月額 2,000円
大学生
41年度予算以前の採用者 月額 2,500円
42年度予算以後の採用者 月額 5,000円
(3) 貸 与 期 間
奨学生の在学する学校の正規の修学期間
(4) 奨学資金の返還
卒業の日から6ヵ月後から
41年度予算以前の採用者は月賦で15年以内に返還す
る。ただし、月賦の額は500円以上とする。
42年度予算以降の採用者は半年賦で7年以内に返還
する。
また、貸与期間の満了、退学、奨学資金の借受け辞退、
奨学資金貸与制度の廃止の場合も同様とする。
(5) 募 集
年1回4月中旬から5月上旬まで、各高等学校、主要大
学及び報道機関を通じて広報する。
(6) 42年度貸付状況
区分 継続 貸与 新規貸与 計 備考 応募者数 採用者数 人 人 人 人 人増募 高等学校 242 377 170 412 50 大学 64 168 70 134 50 計 306 545 240 546 100
2 日本育英会奨学制度
本会は政府からの借入金を主体として、これに返還金、育
英寄付金等を加えて運営している国家的育英機関である。各
県の教育委員会内に支部があり、県内の中学校、高等学校を
対象に奨学生の採用・補導、奨学金の貸与・返還等の各事務
を行なっている。
(1) 奨 学 生
奨学生は、高等学校、工業高等専門学校、大学、大学院
および国立工業教員養成所に在学する生徒、学生で在学校
の校長、学長から推せんされた者から採用する。
(2) 奨学生の採用
表のうち各県支部が取扱うのは高等学校、高等専門学校
の一般および特別貸与奨学生と大学ならびに教育特別貸与
奨学生予約採用である。
1) 高等学校一般貸与奨学生
高等学校に在学する生徒で、学業、人物ともに優れな
がら、経済的理由によって修学困難と認められる者で、
学校長から推せんされる者について、支部選考委員会を
経て採用される。
貸与月額 1,500円で募集は4月と9月の年2回であ
る。
2) 高等学校、高等専門学校一般貸与(予約)奨学生
中学校第3学年に在学する生徒で、学業、人物ともに
優秀で進学希望を有するが、経済的理由により進学を断
念ずることのないよう、あらかじめ奨学生の予約採用を
中学在学中に行ない、高校・高専校進学後直ちに本採用
となる。中学校長の推せんにより、支部選考委員会を経
て予約採用される。
貸与月額は高等学校が1,500円、高等専門学校は1〜
3年が1,500円、4〜5年が2,000円である。募集時期
は年1回で9月頃。
3) 高等学校、高等専門学校特別貸与(予約)奨学生
中学校第3学年に在学する生徒を対象とする。貸与月
額は高等学校が3,000円。高等専門学校は自宅通学者は
1〜3年が3,000円、4〜5年が4,000円。自宅外通学
者は1〜3年が4,500円、4〜5年が6,000円である。
卒業後一般貸与奨学生(月額1,500〜2,000円)相当
額を一定期間内に返還すれば残額は返還免除となる特典
がある。
採用は2)と同じで、全国一律の採用試験がある。募集
は年1回で4月上旬。
4) 大学特別貸与(予約)奨学生
高等学校最高学年に在学または卒業後1〜3年以内の
者で、翌年度に大学進学を希望する者を対象とする。
貸与月額は自宅通学者が5,000円、私立の場合は
7,500円、自宅外通学者が8,000円、私立の場合は12,000
円である。返還免除の特典があり大学一般貸与奨学生の
貸与月額(3,000円)相当額を返還すれば残額は免除と
なる。
全国一律の採用試験が行なわれる。募集は年1回4月
上旬。
5) 教育特別貸与(予約)奨学生
義務教育教員の資質向上に資するため、教員としての
資質優秀な学生を国立大学教員養成学部に誘致すること
を目的とする制度。対象は前記4)同様であるが採用試験
はない。
貸与月額は自宅通学者が5,000円他は8,000円である。
4)との併額は認められない。