教育年報1970年(S45)-074/260page
3)管理職の適材登用と適所への配置
小規模校およびへき地検に勤務する優秀な教員の中か
ら適格者を管理職に登用するとともに、適所への配置に
つとめた。
なお、校長昇任の場合へき地学校2年、または、農山
村5年以上の経験を有することが必須の資格条件とされ、
また、「管理職資格考査」の受考資格条件もへき地、ま
たは農山村の経験を有することとされている。
(2)へき地学校教職員の経済的優遇策
1)研修旅費の支給
へき地学校勤務教職員の研修旅費として人事委員会指
定校に勤務する教員1人に対し、4,000円、また、分校
に勤務する教員1人に対し、3,000円が支給される。
2)4、5級地の学校に赴任する新採用教員に対する赴任
旅費の支給。
3)へき地手当の支給。
人事委員会指定のへき地校に勤務する教職員に対し、
給料と扶養手当の月額の合計額に1級地から5級地まで
それぞれ、8%、12%、16%、20%、25%を乗じて得た
額をへき地手当として毎月支給されている。
また、へき地教育振興法の一部改正に伴って、へき地
学校に準ずる学校に勤務する教職員に対して4%のへき
地手当、及びへき地学校、またはへき地学校に準ずる学
校に異動し、当該異動に伴って住居を移転した教職員に
対して、へき地手当に準ずる手当が支給されることになる。
4) へき地教職員の特別昇給制度の実施
交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれ
ない山間地その他の地域に所在する学校に勤務する教職
員の功績に報い、併せて人事交流の促進と適正化を計る
ため昇給期間の短縮措置を行なっている。
勤務年数
級別区分1年以上2年未満 2年以上3年未満 3年以上4年未満 4年以上 5級・4級 6月 短縮 12月 短縮 3級・2級 3月 〃 9月 〃 12月短縮 1級 3月 〃 6月 〃 9月 〃 12月短縮
(3)へき地学校教職員の配置に対する特別措置
へき地教育振興法第4条第2項に「都道府県は、へき地
学校に勤務する教員、および職員の決定について特別の考
慮を払わなければならない」とあるが、本県としては、へ
き地学校教職員の定数配置について、次のような措置を行
なった。
1)小規模学校に対する補正教員(分校補正)の配置。
○分校3校以上を有する学校に教員1名を増員する。
○本校が3学級以下の小規模校で、分校を有する学校に
教員1名を増員する。
2)単級、5複、4複の解消。
3)3複について標準法通り児童数15人までを1学級に改
善した。
4) 2複について1学級あたり児童・生徒数を標準法通り
小学校では22人まで、中学校では15人までとする。
5)へき地校におよそ9校につき1人の割合で養護教員を
増員する。
(4)教育事務所指定へき地検の逓減
へき地校の県全体の学校数に対する割合が大きく、円満
なへき地交流がきわめて困難であること、および交通事情
その他の改善によるへき地の変化等から検討し、教育事務
所指定のへき地校を次の通り解消した。
教育事務所指定校数
年度 小学校 中学校 計 指定校数 全校数に
対する割合指定校数 全校数に
対する割合指定校数 全校数に
対する割合昭和41 117 % 15 33 % 11 150 % 13 〃42 85 11 25 8 110 10 〃43 67 9 22 7 89 8 〃44 37 5 11 4 41 5 〃45 29 4 9 3 38 4 〃46 19 3 8 ・3 27 3
(5)学校、学級規模の適正化
本県のへき地検には、小規模校や分校が多く、また児童・
生徒数が少ないため複式学級が多いので学習指導に因難を
きたしている。
したがって、学校の統廃合をはかり教育条件の改善をは
かった。
統廃合状況は次のとおりである。
小学校
○2校を統合した件数 1
○廃止した本校数 2
○廃止した分校数 16
中学校
○2校を統合した件数 2
○3校を統合した件数 2
○4校を統合した件数 1
3.今後の問題点
(1)へき地校の教職員の充実をはかること。
へき地校に勤務する教職員の年令別構成から見て中堅教
員が少ないことにかんがみ、これが解決のため、へき地に
勤務する教職員の優遇策、地元の受入れ体制の整備、へき
地派遣制度の推進が必要である。
(2)へき地と都市、平地との人事交流を推進すること。
高度へき地に勤務する教職員の転出についての優先人事、
へき地勤務未経験者についての計画的へき地転入等すすめ
て来たが、今後はさらに計画的広域交流を推進する必要が
ある。
(3)施設設備の充実と学習指導法の改善をはかること。
教育機器の導入等施設設備、教材教具の充実により学習
指導法 困難性を打開し、学習の能率化や個別化を促進し
教育水準の向上をはかる必要がある。
(4)福島県へき地教育振興会との協力をいっそう強化する。
本県へき地教育振興会は、昭和25年に県民の友愛精神か
ら発足し、以来20余年間の長きにわたりへき地教育振興の
ために多大の貢献をして来た団体であり、今後はさらに、
密接な連絡提携のもとに協力を強化しへき地教育の振興を
はかる必要がある。