教育年報1975年(S50)-212/303page
第3節 文化財の保護
1 保 存 事 業
(1) 文化財の調査
1) 主要文化財の調査
県内に所在する主要な文化財のうち、未指定のものに
ついて、次のとおり指定調査を行った。
市町村名 主要な文化財 調査担当者 石川町 鳥内遺跡 伊東信雄 いわき市 勝行院釈迦如来坐像 菊池貴晴 〃 円通寺聖観音菩薩立像 〃 長沼町 桙衝神社本殿 草野和夫 〃 護真寺のサクラ 樫村利道 〃 古館のサクラ 〃 福島市 金銅製双魚佩 中村五郎 喜多方市 上三宮太々神楽 本田安次
2) 文化財基礎調査
ア、 目 的
本県の未指定絵画、書跡について、所在状況をは握
するため悉皆調査を実施して台帳を整備し、保存対策
の基礎資料とした。
イ、 対 象
仏画、曼茶羅、祖師像、絵巻物、屏風絵、掛幅画
水墨画、絵図、書跡、典籍、古文書
ウ、 時 代
古代、中世、近世の製作になるもので、未指定のも
の。
エ、 調査方法
第1次調査 昭和50年4月〜6月 2,500件
第2次調査 昭和50年9月〜10月 143件
第3次調査 昭和50年11月〜12月 100件
オ、 報告書
「福島県の絵画・書跡」文化財基礎調査6として刊
行。
3) 史跡指定調査
ア、 目 的
歴史上重要な遺跡の史跡指定を積極的に進めるため
第4年次の継続調査を実施した。
イ、 調査対象
関和久遺跡(西白河郡泉崎村大字関和久)
ウ、 調査指導
伊東 信雄
エ、 調査期間
昭和50年10月20日〜11月22日
オ、 調査結果
礎石建物跡3棟、掘立建物跡9棟、大溝2条、小溝
2条、堅穴住居跡1基、計17遺構を発見した。出土遺
物には、瓦、土師器、須恵器、鉄製品等約700点があ
る。
カ、 報告書
「関和久遺跡4」史跡指定調査概報として刊行した。
4) 民俗音楽調査
ア、 目 的
県内各地に遺存している民俗音楽は、産業開発の進
展や社会構造の変移につれて、古来からの生活形態が
変化し、伝統的な生活様式や風俗慣習とともに衰退し
廃絶して行く傾向を示しているため、これを記録に保
存し広く活用に資する。
イ、 調査対象
神楽、田植踊、獅子舞、念仏踊などの民俗芸能に伴
う囃子と歌。
ウ、 調査内容
県内各市町村に依頼して所在調査を実施した民俗芸
能のうち、学術的価値の高いもの及び保存上緊急を要
するもの30曲を選び、県合唱連盟に委託して録音採取
し整理するとともに採譜して記録保存した。
エ、 調査期間
年間を通じて実施。
5) 民家緊急調査
ア、 目 的
生活の変化や地域開発等によって、貴重な文化財で
ある民家の大半が改築等によって失われようとしてい
る情勢にあるので、このような民家の危機に対処する
ため、調査を実施し県内に散在する重要な民家のリス
トを作り、保護施策の基礎資料とするものである。
イ、 調査対象
明治維新以前に建てられた古い民家を対象とし、住
宅とそれに付随した倉や門なども含めた。
ウ、 調査内容
(ア) 第1次調査
各市町村教育委員会に依頼して、第1次略調査表
586棟分を作成
(イ) 第2次調査
第1次略調査表の中から85棟を選出し図面等を作
成
(ウ) 第3次調査
第2次調査表の中から40棟を選出し詳細な図面等
を作成
エ、 調査方法
(ア) 第1次調査のとりまとめは、県教育委員会が行っ
た。
(イ) 第2次調査、第3次調査については、東北工業大
学建築学科建築史研究室の草野和夫教授に委託して
行った。
オ、 調査結果
調査結果をとりまとめ、将来において印刷刊行をす
るとともに、県、市町村における文化財指定の基礎資
料として活用する。