教育年報1976年(S51)-193/309page

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文化

   第1節 概     要

  県民の文化的活動は、かってないほどの高まりを見せ、文

 化的遺産や優れた芸術に接して、精神的充足を求める活動の

 みに止まらず、進んで伝統的文化や文化財を愛護活用し、み

 ずから文化創造の場に参加しようとする気運が高まった。

  本年度、文化庁が「文化行政長期総合計画」(中間まとめ)

 を秋に発表し、わが国の文化行政の在り方を示したことは特

 筆されよう。本県でも長期総合教育計画の策定にあたり、

 従来の文化行政の在り方の見直しや、諸施策の方針の樹立の

 ために活用する必要がある。

  また、今年度は、文化財保護法の改正に伴う、県内態勢の

 整備や、開発に伴う埋蔵文化財の保護等の諸問題の解決を図

 るため、県教育委員会の重点施策の一つに「文化財保護の強

 化」を掲げ、芸術文化行政の推進とともに、諸施策の充実に

 努めた。

   1 文化活動諸条件の整備

  県民文化活動を振興するため、「市町村文化行政担当者会議」

 を開催し、県と市町村文化行政の連携や組織の充実について

 協議するとともに、「青少年芸術文化リーダーのつどい」、

  「伝統工芸指導者講習会」を実施し、地域指導者育成に努めた。

 さらに、いわき市文化センター整備事業の助成や、県組織文

 化団体事業や団体行事の共催助成など、県民文化活動の諸条

 件の整備に努めた。

   2 芸術文化活動の充実

  広く県民に優れた芸術を鑑賞する機会を提供するため、新

 規に「家庭劇場」を20町村で開催、「青少年芸術劇場」 「こ

 ども芸術劇場」を5市で開催した。

  また、「県展」第30回展を開催、充実した作品を716点展

 示し、約2万人の県民が鑑賞した。また県展優秀作品を、「地

 方巡回美術展」として三方部に拡充開催するとともに、県人、

 県出身作家の秀作を県民にひろうする「選抜秀作展」を開催

 した。

  また、「県文学賞」への応募も多く、特に青少年の参加が

 目立った。

  一方、全県組織をもつ文化活動もさらに充実し、合唱演劇、

 吹奏楽、おかあさん合唱、川柳などのコンクールや大会が開

 れた。また、合唱、吹奏楽は、ともに東北大会が本県で開催

 された。特に合唱では、東北大会、全国大会で本県出場団体が

 全部入賞するなど高い水準を示した。さらに、洋舞団体が全

 県組織を結成し、初めて、全県的に洋舞発表会を行ったこと

 は注目されるし、吹奏楽団体が、日頃の成果を持ち寄り、自

 主的なコンサートを開いたことなど特筆される。

  地方においては、特に、県芸術祭をいわき市を主催地区と

して開催したが、特に20数団体が一致協力して制作した「大

 いなるいわき」の公演は、市民ぐるみの文化活動により実施

された。

 「文化のふるさと」事業も着実に波及推進し、地域住民の

参加する文化活動の進展が見られた。

 本年は、8月に、米国オハイオ州国際親善音楽団が来県し、

県内3市で公演し県内合唱団と交歓したほか、本県の生んだ

世界的医学者、野口英世博士の生誕百年に当たることから、

南米エクアドルから、ロハ国立音楽大学アンサンブルが来県

し、会津若松市で、民族音楽をひろうして県民と交歓するな

ど、国際親善、文化交流に努めた。

 3 開発に伴う埋蔵文化財保護の強化

 文化財主査1名を増員し、各種開発事業及び重要遺跡の調

査に対応した。今年度は、国営総合農地開発事業(母畑地区)

の進行に即応し、遺跡保存と発掘調査を実施した。あわせて、

市町村教育委員会における文化財保護と発掘調査の指導を行

い、体制の強化と調査内容の向上とを図った。特に、法に基

づき、諸開発等にかかわる届出、事前協議のルール化に努め

るとともに、マイラーベース作成を行い、保存のため遺跡周

知に努めた。

 また、史跡候補となる重要遺跡等の調査を行った。さらに、

「埋蔵文化財発掘技術講習会」を開催し、市町村における遺跡

保護体制の充実に努めた。

 4 指定文化財保護施策の強化

 文化財を保護するための指定調査をはじめ、文化財基礎調

査、民俗音楽調査を実施し、県内に所在する文化財等の実態

のは握に努めた。また引き続き文化財ペトロール事業を実施

し、指定文化財及び遺跡の実態は握と保全に努力した。防災

設備、環境整備をはじめとする文化財保存事業に対する助成

を充実し、保護施策の強化を図った。特に、文化財保護法の

一部改正に伴う市町村文化財保護条例の整備と市町村文化財

の指定の促進について指導した。

 5 文化財普及・活用の推進

 広く県民が直接、文化財に接することにより、文化財に対

する理解を深め、愛護思想の高揚を図り、文化財をとおして、

郷土を愛する心と、住民の連帯感を育くむため、文化財研修

バスの運行、県民俗芸能大会の開催、文化財愛護モデル地域

の指定など、文化財の普及と活用事業の拡充を図った。

 第2節 芸術文化の振興

 1 文化振興のための条件整備

(1) 文化行政の推進

 1) 市町村文化行政担当者会議

   県民の芸術文化や文化財に対する関心や活動の高ま

  りに対応するため、文化行政施策の推進や、行政機関相


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