教育年報1978年(S53)-044/372page

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(4)答  申
昭和54年2月1日
福島県教育委員会殿
福島県後期中等教育審議会
会 長  油井賢太郎
高等学校進学率向上の推進について
(第二次答申)
 本審議会は、昭和52年8月31日付をもって福島県教
育委員会の標記の諮問を受け、その検討すべき点の1
「志願率が高く収容率の低い地域に対する施策」に関
し、昭和53年1月30日付第一次答申をいたしましたが
その後、検討すべき点の2「志願率も進学率もともに
低い地域に対する施策」について、専門調査員会の調
査研究の結果に基づき、慎重に審議いたしました結果、
別紙のとおりの結論を得たので第二次答申をいたしま
す。

(別 紙)

     高等学校進学率向上の推進について

          (第二次答申)

前 文

  全国の高校進学率は、その伸びが次第に小さくなる傾

 向を示しており、県によっては進学率が下降に転じたと

  ころもあるが、全国平均はなお上昇し、昭和53年度にお

  いて93.5%を示している。本県にあっても90.5%に達し

  たが、全国平均に比して低い状況にあるので、今後も引

  き続き高等学校進学率の引き上げに努め、高等学校教育

  を受ける機会を拡充し、社会的要請に応えるよう努めな

  ければならない。

  本審議会は、諮問された「高等学校進学率向上の推進

  について」を調査審議し、検討すべき点の1に引き続き

 検討すべき点の2「志願率も進学率もともに低い地域に

 対する施策」に関し、専門調査員会の調査研究に基づき

 慎重に審議した結果以下の結論を得たものである。

1 該当地域とその問題点

(1)高校志願率及進学率が、県平均に達していない6郡及

  びそれと関連ある2市(安達郡、岩瀬郡、須賀川市、石

 川郡、田村郡、西白河郡、白河市及び東白川郡)につい

  て、市町村ごとに高校進学をめぐる事情を調査した。

   これらの市町村はおおよそ3つの群にまとめられるが、

  その問題点として次のような点が指摘できる。

(2)第1群(三春町、船引町、平田村、都路村、葛尾村、

 古殿町)

  志願率、進学率ともに調査対象地区のうち最下位にあ

  り、地理的(特に交通事情)、経済的条件(修学費負担

  等)のきびしい状況の地区である。

  今後の中学校卒業者数は漸減傾向にあるが、志願率の

 上昇が予想されるので、現在の収容力はまだじゅうぶん

  なものとはいえない。

(3)第2群(須賀川市、長沼町、鏡石町、岩瀬村)

  志願率は県平均をやや下回り、進学率は須賀川市を含

  めると県平均をやや上回っている。また、高校進学者の

  他地区との関係では、流出入が多いこと、特に流出数を

  上回っているという特徴を示している。

   今後の中学校卒業者数の推計は漸減傾向を示している

  が、志願率は上昇すると推計されるので、収容力につい

  て検討する必要があろう。

 (4)第3群(鮫川村、塙町、矢祭町、西郷村、大信村、泉崎村、天栄村)

   泉崎村を除いて志願率、進学率ともに県平均を下回る

  が、調査対象地区のうちほぼ中位といえる。交通事情も、

  経済的条件もほぼ中位の状況といえる。今後の中学校卒

  業者数の推移と現在の収容力とをくらべあわせると、必

  ずしも収容力の拡大の要はないと考えられる。

(5)上記の市町村において、志願率、進学率が大きく伸び

  ない要因には、収容力の問題以外に、修学費の負担が大

  きいこともあげられるであろう。

   以上のことから、進学率向上の推進のために、以下述

  べるような施策を検討すべきである。

2 検討すべき施策

  調査対象地区の現況に対応して、進学率向上のために解

決されるべき問題点は大別して地区内の収容力の拡大を要

 すると考えられる面と、修学費の負担の軽減をはかること

 が必要と考えられる面の二つが考えられるが、検討すべき

施策と考えられるものは次のとおりである。

  (1)収容力の拡大によって志願率を刺激し、進学率向上

   が期待できると思われる施策として次の点が考えられ

   る。

  1)田村地区における高校新設を早急に検討すべきで

    ある。

   全日制の課程、男女募集とすることが望ましい。

     学科については、進路志望に即して教科・科目を

   選択できるように弾力的に配慮し、魅力ある学科づ

    くりをする必要がある。

     学校規模の決定に当たっては、既存高校の学校規

   模の適正化及び学科の適正配置を併せて検討する必

   要がある。

    学校の位置は、既存高校の位置や郡山地区の私立

   高校との関連をじゅうぶん勘案し、教育上最適地を

   選定することが望ましい。

 2)須賀川地区における収容力の拡大については、郡山

  地区との収容力との関係、私立高校との関連及び隣接

   する地区の進学率の向上の要素等を考慮しながら、学

  校、学科の適正配置の観点から、今後も引き続き前向

   きに検討することが適当である。

(2)修学費の負担の軽減をはかることによって志願率を上

 昇させ、進学率向上が期待できると思われる施策として、

 修学資金の貸与等に関する施策、通学困難な生徒を収容

 するための寄宿舎の設置に関する施策及び通学費に関す

  る助成策などが考えられるので、これらについては、今

 後じゅうぶん検討する必要がある。

3 学校規模の適正化について

 本県の高等学校進学率も逐年上昇して全国平均の進学率

に近づきつつあり、一方高等学校の生徒収容率も高まって


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