教育年報1981年(S56)-184/308page
なお、昨年度及び本年度調査した結果4,928点
を収録した「福島県古文書緊急調査報告1」を刊
行した。
3) 文化財基礎調査
ア 年中行事調査
最近伝統的な生活様式や風俗慣習が著しく変容し
ておりそのためにそれを基礎として成立しできた年
中行事も変化し、あるものは衰微している現況から、
昨年度から3年継続で県内全域にわたり家ごと、ま
たは集落ごとに行われている年中行事で、現在行わ
れているもの、および廃絶したものでも内容のわか
るものを対象に調査を行った。
本年度は昨年実施した1次調査の中から特に価値
の高いと思われるもの9ヶ所を選んで詳細な現地調
査を実施した。
。調査員 県文化財保護審議会委員 岩崎敏夫
イ 工芸品調査
県内各地に現存する伝統的工芸品の実態を調査
し、その保存を図るための基礎資料として昨年度か
ら3年継続で調査を行った。
昨年は工芸品のうち、漆工品、木工品及び竹工品
について1次調査を行ったが、本年度はこの中から
価値の高い作品を選び現地調査を実施した。
。調査員
県文化財保護審議会委員 高瀬喜左衛門
菊池貴晴
会津若松市文化財調査委員 山内清司
4) 各地方言収集緊急調査
近年のマスコミュニケーションの急速な発達によっ
て方言は全国的に変化し、失われつつある。
方言は日本語の古い姿を残すとともに、地方の民俗
や風土に密着して成立したものだけに、高い文化史的
価値を有している。
このため本年度から3年継続で調査を行った。
。調査内容 次の区分により録音採集を行い、文字化
して共通語訳と注釈をつける。
1年次 老年層の話者による会話
。調査地区 福島市、会津高田町、昭和村、相馬市、
いわき市 5地区
。調査員 主任調査員 福島大学教授 菅野宏
調査員 福島大学助教授 渡辺義夫
同 同 高野保夫
地区調査員 会津高田町 大越大雄
同 昭和村 皆川伝三郎
同 相馬市 新妻三男
同 いわき市 和田文夫
5) 特別天然記念物カモシカ緊急調査
近年全国名地でニホンカモシカによる被害が発生し、社
会問題となってなってきている。本県においても福島市周
辺で農作物に対する被害が発生しつつある。このような
問題に対処し今後の保護管理を進めるためには、その分
布、生態等について把握し、適切な対策を講ずる必要が
ある。
この調査は、全国的な調査の一環としてニホンカモシカ
の分布、生息実態について調査したものである。
。調査委託先
財団法人 日本野生生物研究センター
。調査地域及び面積
1)飯豊山系 西会津町 134.3平方キロメートル
山都町 156.0 〃
熱塩加納村 156.5 〃
喜多方市 150.3 〃
2)福島市北西部 約310.0 〃
トル
。調査期間
1)予備調査 昭和56年10月12日〜14日
2)本調査
飯豊山系 昭和56年11月5日〜11日
福島北部 昭和56年11月12日〜14日
。調査結果の概要
密度調査は区画法により実施したが、調査地域に
おける分布域は、飯豊山系207,0平方キロメートル、
福島市周辺462.0平方キロメートルとなっている。
生息頭数は飯豊山系で103土238頭、福島市北西部
で620土480頭、福島県全域では3799土3159頭と推定
される。
(3)文化財保存の充実
1)文化財保存事業
ア国指定
事 業 区 分 補助事業者 名 称 種別 事業内容 全 額総額 国 県 地元 建造物防災施設 願成寺 白水阿弥陀堂 重文 防災施設 千円
14,090千円
(70)
9,863千円
1,400千円
2,827〃 八葉寺 八葉寺 〃 〃 6,069 (75)
4,551500 1,018 美術品保存修理 願成寺 木造阿弥陀如来及
両脇侍立像〃 保存修理 4,910 (65)
3,191570 1,149