(3) 史跡指定調査
1) 目 的
歴史上重要な遺跡の史跡指定を積極的に進めるために
発掘調査を行い、基本資料を整備する。
2) 調査対象
関和久上町遺跡 (西白河郡泉崎村大字関和久所在)
3) 調査指導委員
岡田茂弘 (国立歴史民俗博物館教授)
桑原滋郎 (宮城県多賀城跡調査研究所長)
工藤雅樹 (福島大学教授)
鈴木啓 (福島県立新地高等学校長)
4) 第二次5か年計画の3年次目(通算第8次)の調査と
して、高福寺跡地点、高福寺跡東地点、上町南地点の3
地点5ヶ所で発掘調査を実施した。その結果、上町南地
点では昨年度確認した南北約一町強の平安時代初頭の官
衙ブロックの南約40mに、新たに官衙を区画する溝跡が
検出された。この溝と平安時代初頭の官衙ブロックまで
の間には、奈良時代の官衙的建物群があり、奈良時代の
官衙ブロックが、南辺を溝で区画したものであった可能
性がでてきた。ただし、外側の区画溝は、東辺では40m
外側には所在しておらず、平安時代初頭の官衙ブロック
を二重にとり囲む構造ではなかったことも明らかになっ
た。
(4) 埋蔵文化財保護体制充実のための研修
1) 第17回福島県埋蔵文化財発掘技術者講習会
○ 期間 平成元年8月8日〜8月12日
○ 会場 (財)福島県文化センター
福島市渡利 岩崎町遺跡
○ 人員 20名
○ 内容 開発と文化財の保護、考古学研究の方法、
考古学入門1 (旧石器〜縄文時代)
同2 (弥生時代)、同3 (古墳時代〜奈良時代)
県内の発掘調査トピックス、鉄の歴史展見学
講演 「福島県地域への古墳文化の伝播」
実習 岩崎町遺跡
2) 奈良国立文化財研究所埋蔵文化財センター主催
埋蔵文化財発掘技術者等研修
◎ 一般研修
○ 一般課程 平成元年7月24日〜8月29日
1) 大森義秀 耶麻郡磐梯町教育委員会
2) 幕田一義 伊達郡保原町教育委員会
3) 江川逸生 (財)いわき市教育文化事業団
◎ 専門研修
○ 土師器・須恵器調査課程 平成元年5月9日〜17日
1) 小林雄一 (財)福島県文化センター
○ 保存科学課程 平成元年6月8日〜28日
1) 山口晋 田村郡三春町教育委員会
2) 丸山泰徳 (財)福島市振興公社
○ 縄文土器調査課程 平成2年1月10日〜23日
1) 馬目隆康 (財)いわき市教育文化事業団
2) 武田耕平 (財)福島市振興公社
○ 弥生土器調査課程 平成2年2月14日〜23日
1) 高島好一 (財)いわき市教育文化事業団
○ 生物環境課程 平成2年3月6日〜23日
1) 新堀昭宏 (財)福島市振興公社
2) 猪狩みち子 (財)いわき市教育文化事業団
(5) 埋蔵文化財保護の普及活動
◎ 発掘調査報告書の刊行
1) 母畑地区遺跡分布調査報告 14
2) 矢吹地区遺跡分布調査報告 10
3) 相双地区遺跡分布調査報告 1
4) 東北横断自動車道遺跡分布調査報告 1
5) 福島空港関連道路遺跡分布調査報告 1
6) 母畑地区遺跡発掘調査報告 28・29
7) 矢吹地区遺跡発掘調査報告 5・6
8) 国営会津農業水利事業関連遺跡調査報告 11 ・10
9) 真野ダム関連遺跡発掘調査報告 14・15
10) 福島空港関連遺跡発掘調査報告 3
11) 相馬開発関連遺跡発掘調査報告 2
12) 東北横断自動車道遺跡調査報告 7
13) 三春ダム関連遺跡発掘調査報告 3
14) 原町火力発電所関連遺跡調査報告 1
15) 関和久上町遺跡 8
(6) 重要遺跡基本資料整備事業
昭和60年度からの5カ年事業であり、遺跡周知事業で確
認された遺跡の中から重要遺跡をとりあげ、保護のための
基本的な資料を整備している。本年度は、会津地区を調査
対象に52遺跡の立地、範囲、性格、発掘調査等の成果を示
す航空写真や記録類を収集し整備した。
(7) 県内の発掘調査の状況
発掘調査(試掘調査を含む)の原因別・方部別件数は、
下表のとおりである。原因では、相変らず農地開発・道路
建設を含む土地開発等土木工事が上位を占める。
平成元年度発掘調査件数 (平成2年3月末現在)
調査の原因/方部 県北 県中 県南 会津 南会津 相双 いわき 計 農地開発 (国・県・団体) 8 25 4 31 9 1 78 都市計画等 8 1 9 道路建設 13 21 1 12 1 3 4 55 土地開発等土木工事 5 2 7 1 17 1 33 宅地造成等 9 1 1 2 2 8 2 25