第13章 福島県養護教育センター
第1節 概 要
養護教育センターは、本県養護教育の振興と充実を図るこ
とを目的として、昭和61年4月1日に開所し、心身障害児の
教育相談、養護教育関係教職員の研修、養護教育に関する事
項の調査・研究、養護教育に関する図書資料の収集と提供、
養護教育の理解・啓発のための資料の作成と広報等に関する
事業を推進してきた。
1 教育相談事業
心身に障害が認められるか、又はその疑いのある幼児、
児童生徒を対象に、養育、教育、就学及び進路等につい
て保護者や学校、幼稚園、保育所、市町村教育委員会からの
相談に対応し、必要に応じて、嘱託医と連携して検査・観察
・診断等を行い、指導援助を実施した。また、本県の広い地
理的条件を考慮して、県北(県立聾学校福島分校)、会津
(同会津分校)、浜通り(同平分校)に地域相談室を設置す
るとともに、心身障害児巡回就学相談を県内4会場で実施し
た。
なお、この1年間の相談総件数は、延べ3,048件であった。
2 教職員研修事業
養護教育センターは、養護教育関係教職員を対象として、
専門職としての資質能力の向上を図るために、
第4次福島県長期総合教育計画に基づく研修計画のうち、各種障害児教育
に関する専門的内容についての研修事業を実施した。
本年度の研修の企画運営に当たっては、各講座の特性を考
慮して、継続的、系統的、発展的視野からできるだけ現実的
な教育実践に直結した内容・方法を取り上げ、教育活動の展
開状況に対処するうえで必要な専門的知識・技能を重点的に
習得し、専門的な資質能力の向上を図るよう努めた。
本年度実施した研修講座は別表のとおりで、開設日数は48
日、研修人員は312名であった。
3 教育調査・研究事業
養護教育センターに課せられた研究機関としての役割と使
命を達成するため、本県が当面している養護教育振興上の課
題及び学校における教育実践上の具体的課題と関連する研究
主題を設定し、次の研究を行った。
共同研究「養護教育におけるコンピュータ活用に関する
研究―コンピュータ活用の実際、(その2)―」第3年
次(3年継続研究)
この研究成果は、研修講座の内容・方法の改善充実に反映
させるとともに、研究紀要第8号として刊行した。
なお、養護教育課、盲・聾・養護学校及び小・中学校特殊
学級等の関係教職員の出席のもと、平成6年2月10日(木)に、
第8回研究報告会を実施した。同時に、盲・聾・養護学校及
び特殊学級担当教員等を対象とした奨励研究の報告会を併せ
て行い、本年度は、2名が実践研究の報告を行った。
4 教育図書・資料の収集・提供事業
養護教育の振興充実に役立つ情報・資料を県内教職員等に
提供するため、養護教育関係の専門図書・資料の収集・整理
を行い、利用しやすくした。なお、養護教育関係図書は5,317
冊、月刊・季刊誌は30種類となっている。
5 広報・啓発事業
養護教育センターの事業内容及び所員による調査・研究の
成果等を広報するため、所報「養護教育」を年間3回発行し
たのをはじめ、研究紀要、心身障害児ハンドブック(第6集)
「からだの不自由な子」及び広報パンフレット等を学校、教
育機関等に配布して、養護教育の啓発を図った。また、広報
誌「教育福島」、テレビ、新聞等をとおして、広く県民の養
護教育に対する理解と認識を深め、人間性を重視した学校教
育を推進することに努めた。
第2節 心身障害児の教育相談事業
1 相談対象
心身に障害が認められるか、又はその疑いのある幼児、児
童生徒が相談対象であり、障害の種類は次のとおりである。
○視覚障害 ○病弱・身体虚弱
○聴覚障害 ○言語障害
○精神薄弱 ○情緒障害
○肢体不自由 ○重複障害
2 形 態
(1) 来所相談・電話相談
電話、手紙等の申し込みにより、来所日時をあらかじ
め調整のうえ通知し、相談者の来所によって行った。また、
相談の内容によっては電話だけによる相談も行った。
(2) 巡回就学相談
1) 事業内容
心身障害幼児・児童の発育状況や教育措置に対する正
しい認識を得させるため、4教育事務所管内において巡
回就学相談を実施し、適正就学に関する啓発活動の充実
を図った。
2) 実施地区と相談件数
相談件数67件
県北:福島市(17件)
会津:会津若松市(21件)
相双:原町市(17件)
いわき:いわき市(12件)
(3)地域相談
次の3カ所に地域相談室を設置し、名障害の相談に応じ
られるように相談員を委嘱、来室による相談、電話による
相談を行った。