教育年報1994年(H6)-123/231page
3 埋蔵文化財の保存の充実
(1) 埋蔵文化財保存体制
県土の開発の進展にともない開発側との事前協議が増加
しているが、遺跡の保存に対する県民の関心も高まってお
り、埋蔵文化財保存対策が急務となっている。そのため、
発掘調査体制を年々強化し、(財)福島県文化センター遺跡調
査課に逐次定数増加を進めてきた。現在、財団職員30名
(嘱託1名)、派遣職員32名、計62名となっている。
(財)福島県文化センター遺跡調査課職員定数
年度 52 53 54 55 56 57 58 59 60 人員 5 9 15 20 23 26 26 30 40 年度 61 62 63 元 2 3 4 5 6 人員 44 47 47 55 60 60 62 62 62
(2) 開発事業地内の保護対策
開発事業地内の遺跡の保護は、1)遺跡の所在・範囲・性
格等を明らかにする「分布調査」の結果により、2)事業者
と保護策を「保存協議」し、3)現状保存できない場合は、
「発掘調査」により調査報告書を作成し「記録保存」する
ことで対応している。
(ア) 分布調査
開発地内の評細な分布調査を行い、遺跡の保存対策の
資料とするもので、表面調査と試掘調査が行われる。試
掘調査は国営母畑地区内の1遺跡、東北縦貫道安積パー
キング1遺跡、常磐道路線内16遺跡、原町火発1遺跡に
ついて実施した。
(イ) 保存協議
前年度からの継続協議を含め、次の事業について関係
機関と保存協議を実施した。
国営ほ場整備母畑地区、東北横断自動車道、原町火力
発電所、請戸川農水事業、一般国道6号バイパス、東北
縦貫道、常磐道、摺上川ダム、三春ダム、相馬地域開発
・福島空港及び県内各地の県営ほ場整備等の関係機関、
国道・県道の工事事務所等。
(ウ) 発掘調査
県教育委員会では、開発に伴う発掘調査を(財)福島
県文化センターに委託し、下記の遺跡につき実施した。
母畑地区 大日原C遺跡(1,5007m2)、常磐道 久
原A遺跡ほか8遺跡(39,000m2)、三春ダム 越田和
遺跡(9,450m2)、原町火発 大船迫A遺跡ほか3遺跡
(47,560m2)、請戸川農水 荻原遺跡ほか1遺跡
(4,150m2)、相馬開発 古川尻B遺跡ほか1遺跡
(20,600m2)、東北縦貫道 勝利ケ岡遺跡(6,950m2)、
摺上川ダム 弓手原A遺跡ほか1遺跡(31,000m2)の合
計21遺跡(160,240m2)である。
また、県内の各市町村における開発事業関連の発掘調
査は、市町村教育委員会が実施しているが、遺跡の重要
性や調査体制を考慮し、必要に応じ県が指導している。
主なものは、以下である。
県北 市町村名 遺跡名 市町村名 遺跡名 福島市 勝口前畑遺跡 県北 川俣町 梅窪館跡 〃 富山遺跡 〃 峯崎遺跡 〃 月崎A遺跡 本宮町 百目木遺跡 〃 八郎内遺跡 〃 上原遺跡 〃 大森城跡 岩代町 小浜城跡 〃 大鳥城跡 月舘町 川原遺跡 〃 隈ケ城跡 伊達町 中畑遺跡 〃 外大貝遺跡 桑折町 平沢寺一本松 経塚疑定地 〃 上ノ寺遺跡 県中 郡山市 古館遺跡 〃 宮畑遺跡 〃 咲田遺跡 〃 山ノ下遺跡 〃 東山田遺跡 〃 大平遺跡 〃 安部遺跡 〃 浜井場遺跡 〃 木村館跡 〃 杉ノ内遺跡 〃 雪村庵 〃 田中内南遺跡 〃 横川館跡B 〃 稲荷塚古墳 〃 夢田遣跡 〃 西B・C遺跡 〃 妙音寺遺跡 〃 弓手原A遺跡 〃 岩ケ作遺跡 〃 獅子内遺跡 〃 石橋A遺跡 〃 向畑遺跡 〃 石橋B遺跡 〃 西ノ向B遺跡 〃 勝利ケ岡遺跡 〃 西ノ前遺跡 須賀川市 上ノ代遺跡 大玉村 三合目遺跡 〃 万力館跡 〃 南町遺跡 〃 仲林遺跡 〃 住吉B遺跡 〃 乙字ケ滝遺跡 〃 大坦遺跡 大越町 中平A遺跡 〃 玉貫遺跡 〃 猪狩治郎ヱ門 屋敷遺跡 梁川町 東土橋遺跡 天栄村 明堂遺跡 〃 輪王寺跡遺跡 平田村 江名篭D遺跡 〃 矢矧田遺跡 船引町 三百成遺跡 二本松市 八万舘遺跡 石川町 古内A遺跡 〃 高田舘 常葉町 富岡遺跡 〃 二本松城址 長沼町 西町B遺跡 保原町 大鳥城跡 小野町 鶴庭遺跡 〃 保原城跡 滝根町 寺畑遺跡