レッドデータブックふくしまT 植物・昆虫類・鳥類 -002/451page
(福島県の状況)
本県は、「福島県環境基本条例」を平成8年(1996)に施行し、これに基づく、「環境基本計画」の中で「人と自然との共生」の目標を掲げ、多様な自然環境の保全、生物の多様性の確保、人と自然との豊かなふれあいの確保を行うことを宣言している。また、平成10年(1998)には「福島県環境影響評価条例」が制定され、人間活動が生態系などの環境へ及ぼす影響をあらかじめ評価し、環境保全対策に反映させる取り組みが求められることとなった。
豊かな自然の中で多様な生物が生息する本県においては、これまでも野生生物保護の取り組みを行ってはきたが、それは鳥獣保護行政に関する分野や自然公園等が中心であり、野生生物保護対策 については民間のグループや研究者などの取り組みに頼るところが大きかった。しかし、自然や野生生物に対する人間活動の影響が広い範囲に及んでいる現状を踏まえ、県内の野生生物保護についての関心と必要性が急速に高まってきた。
「環境の世紀」と言われる21世紀を迎え、本県の希少な野生生物の実態を明らかにし、然るべき保護対策を進めるための取り組みは、緊急かつ重要な施策として位置づけられるに至り、こうした背景により、平成10年(1998)から「ふくしまレッドデータブック策定事業」に着手した。この事業により、県内に生息する希少な野生生物等の生息・生育状況を把握するとともに、絶滅の危険度などについての評価を行い、平成13年(2001)に「ふくしまレッドリスト」を策定し、平成14年(2002)には植物、昆虫類、鳥類を対象とした「レッドデータブックふくしまT」を刊行する運びとなった。