レッドデータブックふくしまU 淡水魚類/両生類・爬虫類/哺乳類 - 000_03/122page
発 刊 に あ た っ て
福島県は、全国第3位の広大な県土を有し、標高2,000m級の急峻な山岳やなだらかな山地、悠々と流れる河川、大小様々な湖沼・湿地などの豊かな自然環境に恵まれ、その中で多くの野生生物が生息・生育しています。
私たちは、これらの豊かな自然との共生を念頭におき、今日まで県土の発展を築き上げてきました。しかし、産業活動や都市化の進展など社会・経済的な要因によって、野生生物のなかには、その生息・生育環境が脅かされ、絶滅のおそれが心配されるものも見られるようになってきました。
豊かな自然環境と、多様な野生生物は、長い地球の歴史とともに郷土に育まれてきたものであり、私たちにとってかけがえのない財産であるとともに、これらを保全し、新しい世紀に引き継いでいくことは、現在生きている私たち一人ひとりの重要な責務と使命であると考えています。
このため、県の長期総合計画「うつくしま21」にも掲げられている「自然と共生する地球にやさしい“ふくしま”」の理念のもとに、平成10年度から、絶滅のおそれのある野生生物の現状を把握し、希少野生生物保護対策の基礎的な資料を得る目的で県内野生生物の分布状況を調査してきました。
本書は、昨年3月に刊行した「レッドデータブックふくしまT」に引き続き、新たにふくしまレッドリストとして選定した淡水魚類、両生・爬虫類、哺乳類の合計59種について取りまとめたものです。
本書の発行により「レッドデータブックふくしま」の作成は完成を迎え、1,024種に及ぶ県内の希少野生生物が直面している現状を把握することができました。
本書に掲載された種を見ると、河川や湖沼、湿原・湿地、湿田などの水辺環境と里山の環境に生息している生物が多く、人間活動による身近な環境の変化、直接的な開発などが、それらの生息に大きな影響を与えていることが明らかになりました。
「環境最優先」の時代を迎えた今、人間生存の基盤とも言える身近な野生生物をこれ以上絶滅させないよう、環境の保全に努めるとともに、人間活動や開発の影響を未然に防止するための取組みが必要であると考えております。県では、これまでの成果を基礎として、希少野生生物保護対策を進めるための具体策を検討してきた「福島県希少野生生物保護対策研究会」からの報告を受け、平成15年度から条例制定を含む具体的な希少野生生物保護対策に着手することとしています。
本書の発行を機に、県民の皆様の野生生物への理解と関心が一層深まり、各方面の野生生物保護の実践的取り組みに積極的に活用していただけることを心より念願しています。
終わりに、本書の作成にあたり御協力いただいた「ふくしまレッドデータブック」作成検討委員会及び各分科会の皆様方をはじめ、資料の提供や調査に参加いただいた関係各位に厚くお礼申し上げます。
平成15年3月