理科野外観察の手引びき(小・中学校編)-069/82page

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33火口にできた湖にはどんなものがあるのたろうか

私たちの住む福島県内には,非常に多くの湖があります。その中で,火口に水がたまって湖になったものには,どんなものがあるのでしようか。
まず,このことを考えるのに,火口そのものに水がたまった湖(火口湖)と,溶岩を多量に出したあとで。山の一部,または大部分が落ちこんで(陥没),その部分に水がたまった湖(カルデラ湖)に分けてみましょう
まず火口湖として,はっきりわかっているものとしては,吾妻火山の中にあるおけ樋(おけ)沼や鎌沼や,五色沼(吾妻山の五色沼)をあげることができます。
これらの沼は,吾妻山全体を作った大規模な火山活動がおこっているときにできたものではなく(吾妻火山が活動した時期については,まだ,いろいろ研究上問題が残されていますが,活動が始つたのは,今から約20万年ぐらい前だと考えられています),約1万年ぐらい前にできたものだろうと考えられています。
吾妻の浄土平に行くと,.すぐに見られるのは,図-97の吾妻小富士ですが,これは,火口そのもので,中を見ても水がたまっていません。ところが,そのすぐとなりがわに、樋沼のある台地(火山砕屑丘(かざんさいせっきゅう))が見えます。この沼は,針葉樹などの森に囲まれた本当に静かな,しかも小さな湖で,なんとなく心の安らぎを与えてくれます(水面高度1,590m,面積0.02q2,深さは最大13m)・・・(図-96)。
つぎに,この湖の西側の高台(海抜1,750m)に鎌沼があります。この湖は,浄土平から少し歩かなければなりませんが,やはりとっても静かな湖で(面積0.05q,最高深度1m)吾妻の湖では,もっとも大きなものです(図-98のa)。
さらに,一切経を過ぎて北側に五色沼があります(海抜1,750m,深さ9m,面積0,04q2)。中でも,この湖は酸性が強く,火山の影響を今も受けていることがわかります。つぎは,カルデラ湖について考えてみましょう。前の項の「火山の地形」で触れた沼沢湖はその代表的で,そのほか,猫魔火山の中にある雄国(おぐに)沼をあげることができます。カルデラ湖のでき方については,「火山の地形の項」を見ることにしてここでは略すことにします(沼沢湖,面積2.98q2,海抜474m,深さ96m,日本で13番目の深さを持つ。雄国沼,海抜高度1,089m,面積0.48q2,最大深度4.5m)。これらのデータをもとに,さらにこ.れらの湖を良く観察しよう。


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