理科学習指導資料小学校低学年理科の指導-000-01/116page

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まえがき

当教育センターでは「小学校低学年理科指導に関する研究」をテーマに、昭和57・58年の2年間にわたって低学年児童の実態を十分考慮し、理科学習指導上の具体的問題にも対処しながら研究をおこなってきた。
低学年理科の授業を展開していく上での、基本的な考え方として、
1.授業が、低学年児童のつよい意欲と意識に支えられたものであること。
2.自然の事物・現象にふれあう活動が、連続的に発展していくようなものであること。
3.自然の感触を十分味わい得るよう、学習の素材や場を教室だけでなく、広く校外にも求めて活動させるようにすること。
4.活動をとおして、自然に対する見方や考え方が、深められていくようにすること。の4つの視点をあげて、それらをもとに研究を推進してきた。
また、低学年の児童が身につけ、そなえるべき能力、態度や、児童の授業活動について情意面、知識面からの評価の観点及び理科を中心とした合科的指導についても検討を加え、低学年の理科を担当している学校現場の先生方の協力を得ながら、討議と授業実践をかさねて、授業実践例と単元ごとの活動例を作成した。
さて、急速に発展する科学技術社会の中で、また物質的にも恵まれた生活の中で育ってきている現代の小学校の児童をみると、反面、おのずともつべき身近な自然に対しての素朴な疑問、それに伴う興味、関心がうすれ、自然に対する観察力、思考力も低下してきているのが実態である。
自然に親しむこと、自然に興味をもつこと、自然を大切にすることを柱に、事物・現象についての直接経験を重視し、事物・現象から直接学ぶ態度を養うことに主眼をおく新教育課程が実施されて、4年が経過した。授業の中では活動目標が設定されて、児童の活発な活動が行われているが、単に、見る、作る、探すなどの活動だけにとどまって、児童のもつ豊かな感受性とあいまって、広がっていくべき興味や関心が授業活動の中で持続していかないとか、科学的見方や考え方の素地ができていかないなどの問題も多く提出されている。
これらのことについては、今後教師自らが授業の中で児童の実態を把握しながら、創意と工夫を加えて、解決していくべき問題である。この研究でとりあげた授業実践例と単元ごと活動例は小学校低学年理科の指導資料として作成したものである。各学校においては、低学年理科の教材や学習活動について一層理解を深めるとともに、本資料の内容を十分活用いただき、効果的な学習指導が展開されるよう希望してやまない。
この研究をおこなうにあたり、校務多忙の中、終始熱心に研究討議に参加され、授業を実践していただいた研究協力委員の先生方に衷心より感謝の意を表する次第である。

昭和59年3月

福島県教育センター所長

舟山昇


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