福島県の中学校の学習に対する意識と行動-053/115page

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〈数学〉

 数学について調査する前に,仮説的に考えていたことの一つは,小学校3年生あたりから「算数嫌い」が始まるのではないか,ということである。これは,この頃から分数や小数点の計算が始まることから,よく指摘されることでもある。調査の結果は,見事にそれを裏書きしている。

 意外であったことの一つは,中学1年生時における数学の「明るさ」である。「どちらかといえば」という留保つきであるものの,70%前後の生徒が数学は「楽しく」「分かりやすい」と答えているのである。そして,それと関連して,数学を好きになった時期としても,中学1年時は大きな意味を持っている。

 「数学嫌い」が問題になっているが,数学を嫌いになった時期と,数学が好きになった時期が,ほぼ同じ頃であることは,注目されて良いであろう。また,その理由として共通に最も大きな要因として挙げられているのが『授業』であることも,はなはだ示唆的であると言えるのである。

1 数学学習に対する意識

(1)数学の教科イメージ

 数学は,「こつこつ勉強すると得意になれる」,「なぜそうなるか分かることが大切」,「解き方がいろいろある」,「将来役に立つ」教科であると,大半の生徒が考えている。一方,楽しく,分かりやすい教科であると感じている生徒は比較的少なく,学年が進むにつれて,難しさや分かりにくさを感じる生徒が増え,2,3年生になると次第に減少して半分以下になってしまう。

 成績別に見ると,下位の生徒ほど

,そして数学が嫌いな生徒ほど,「難しい」,「楽しくない」と感じ,課題解決の過程よりも結果としての答えの正誤を重視する傾向が見られる。また,上位の生徒に数学を実生活との関連においてとらえている生徒がやや少ないことも注目される。

 教科に対する意識によってグループ化してみると,数学に対して否定的な意識を持つ生徒ほど,「難しい」,「楽しくない」と感じ,課題解決の過程よりも結果としての答えの正誤を重視するとともに,固定的な能力観を持つといった傾向が見られる。

教科観(学年別)
教科観(学年別)


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