より良く生きるための学力を求めて-000-01/64page

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まえがき

福島県教育センター所長 永山三郎

現在、本県においては新しい学力観に立つ「学力向上」が、大きな教育課題になっております。これは、本県の児童生徒が未来に向けて自己実現を図り、より良く生きていくための基礎を、学校教育においてどのように保障するかという問題であります。そしてそのためには、全ての児童生徒を対象に基礎基本の定着と個性の伸長を目指す指導と支援が必要であることは言うまでもありません。
現在、本センターでは「学力向上調査研究プロジェクト」を推進しておりますが、まず研究の糸口として高等学校におけるセンター試験の分析から始めております。これはこれまでの本センターにおける研究にはなかった新しい視点でありますが、より具体的・現実的な観点から本県の現状を認識することが、課題解決の上で必要不可欠と考えるからに他なりません。
ご存じのように、本県の高校生のセンター試験等での学力は、他の都道府県と比較して必ずしも十分とは言えず、大学短大等への進学率も長く低迷しておりました。近年、ようやく高等学校教育課のステップアッププラン事業、義務教育課の小・中学校教育ネットワークプラン事業等の成果が顕れ、向上の兆しが見えますことは喜ばしい限りでありますが、更に一層の努力が期待されております。
本センターではこうした現状に鑑み、平成5年10月「学力向上調査研究プロジェクト」を発足させ、事務局の学習指導部を中心にさまざまな資料の収集と分析に努めてまいりました。
その結果、昨年6月以来、センターテスト等各種テスト結果の分析に関する3つの報告書と、本県の中学生の学習に対する意識と行動に関する調査報告書を作成し、学力向上問題に対する視点を提起してまいりました。前者のセンターテスト結果等の分析につきましては、内部資料として活用し、公表は控えさせていただきました。また後者にっきましては、本年2月、福島県教育研究大会で発表し、本センター「紀要」、3月発行の本センター「所報114号」等ですでにご報告申し上げました通りでございます。
しかし、今回の平成7年のセンター試験において、ステップアッププラン事業該当校を中心に着実に学力向上の成果が上がったこともあり、本センターの分析もご提示申し上げる良い機会であると存じます。
この調査研究の成果を、本県において進学を希望し、またその可能性を持つ全ての児童生徒とその保護者が本県の学校生活により深い充実感と信頼感を持つ上でご活用いただけるならば、それに優る喜びはございません。
何分、不十分な調査研究ではございますが、是非ご一読いただきまして、ご指導・ご叱正賜れますようお願いいたします。

平成7年3月


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