研究紀要第9号 児童・生徒の社会認識に関する研究 男女交際・性意識についての考察 - 016/020page
調査(1) からだの変化については,小・中・高あまり変化なく,気になるのは,男子より女子が多い。成長期の子どもたちが,自己のからだに目をむけるのは,一般的傾向で,急速なからだの伸びにつれて心の発達とのバランスがとれるよう望まれよう。
調査(2) 男性と女性との違いでは,小学生はあまり関心がないが,中・高校生にいくにつれて少しずつ男女の特徴を意識し,依存的な生活より自己を認めてほしい意識が育ち,男女の特性に気づいて,いっそう自己を高めようとする社会性発達につながるもとがでてくる。
調査(3) 異性に対する反発では,男性より女性がやや高率状態であるが,小学校より中・高にいくにつれて漸次たかまって,自己の欲求不満が異性阻止によって反発がみられるようだが,それが自らの独立心―新しい意味での自己成長と自覚へのきざしでありたい。
調査(4) 容姿と服装が気になるのは,男女差がある。「女性は美しく」というが,高校生になるといっそう異性に認めてもらいたい意欲がではじめる。それは精神面の成長の表われであろうが,男性はふだんの姿が「バンカラ」へつながるいちめんもでてくるようである。
調査(5) 異性に出会うと恥ずかしいのは,高校生女子の半数以上が感じとっている。緊張感や失敗を経験しないかという不安感は思春期の特徴であろうが,この年齢層へ理解をもち,親・教師が温かく見守る受容的態度をもつべきではなかろうか。
調査(6) 異性の友がほしいかについては,小・中高と発達段階にともない上昇する。それが尊敬や愛情へ発展する傾向もあるが,一部で同級生同志で,趣味や運動,遊行などから,明るい交際への発展がみられるが,異性の友が時々ほしいという考え方が多いことに注目したい。
調査(7) 映画や雑誌に性や男女のことがでてくることについては,ほとんど気にならないが28・6〜51.0%となり,情報化社会の姿勢が少しずつ育っているといえようが,興味第一主義に迷わされて,内容を選択できない態度は猛省したい。
調査(8) アベックに対し腹をたてたり,うらやましいと思うかは,中学生になりほとんどないが60.3〜71.3%いるのは,男女共学が健全な形で育った感がある。気がるなガラス張りの交際が,かえって信頼され,望ましい姿になってあらわれてきているのだろう。
調査(9) 性や男女のことでいらいらするかは,小・中・高と学年が進むと低率となる。特に女性は,男性より気分が安定してくるのは,成長が早熟の傾向にあるからだろうか。
不安感がなくなり,信頼し理解しあえる気持ちが出てくるのは喜ばしいことである。調査(10) 早く結婚したいと思うかについては,小・中・高の変化は,あまりないといえよう。ただ高学年になるにつけ「思ったことが,ほとんどない」というのが低率になるのは,自然なことであろう。お互いの結婚を考えるには,年齢的にもまだ若いので,せいぜい自分の両親と家庭の状況から,自分なりの夢や想像をたくましくするにとどまっているのが現状であろう。
〔調査2〕 あなたは,つぎのような自分のからだや心の変化に気づいたのは,およそいつごろですか。