研究紀要第16号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 004/020page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

中 学 校 教 材

水圧実験器の開発と,授業への利用

本 田  孝

 中学校(高等学校)の理科教材の中に,水の圧力に関する学習内容があるが,現状の設備の中では,水圧の実験はほんの一部しか行なえず,それがまた極めて定性的な結果しか出ないので,いきおい教師の一方的な黒板実験や思考実験を主体とした教授方式によらざるをえないため,生徒の理解を困難にしている現状である。

 そして生徒は、ただ機械的に計算によってだけ水圧を理解(?)しているといっても過言ではない。そこで,水の圧力が数量的にわかるような実験器具を開発して,生徒自身の探究的な思考の順序性を主軸として学習が進められるようにし,生徒の理解を一層深めるようにしたいと考える。

1.水槽の側面にかかる水の圧力を調べる実験器具。

特徴:水槽の側面にかかる水の圧力を注射器のかっそくで受けてばねを伸ばし,その伸びた長さで圧力の大きさを測定する。

製作:@注射器(ツベルクリン用2c.c.)のシリンダーの両端を約5oほど切りとる※1切断面は,紙やすりで平にする。図−5※1−@

A かっそくは、先を4pのところで切断し,切断面は丸くなるまで紙やすりでみがく,また,まわりを少しみがいて,全体的に細くする。細くなったかどうかは,シリンダーに入れて斜めにしたとき,スムーズに動くかどうかで調べる。 ※1−A

B かっそくの一端に6pのアルミ管を接着する。これが押し棒になる。※1−B

C シリンダーの外径にあわせて,ばねをつくる。(直径0.3oの鋼線使用) ※2
 ばねを2pほどに切り,シリンダーの一端に接着する。また他端には,水槽の側面の穴にねじ込むため,No.1のゴム栓をつける。
@,A,B,Cを組みたてると注射器つきばねばかりができるが,3個作る。 写真−1

写真−1
写真−1

 3個の注射器をとりつける水槽は,図−1のような形のものを,厚さ3oの塩ビ板を接着して作る。使用する場合には,実験の種類によっては,実験しない穴はゴム栓でふさいでおく。
使用法:@注射器のゴム栓の端を,水槽の上,中,下の三個の穴に水平になるようにとりつける。

図−1
図−1

A 水位計※3をとりつけて水を入れ,目的とする深さで,水位を一定に保つ。
 三個の注射器のかっそくは,水深に応じて押され,ばねが伸びて,写真−2のような状態になることが観察される。
 この実験から,水が水槽の側面を押す力の大小が,水の深さと関係することが生徒にはすぐ理解できる。そして,その力の大きさは,はかりを水槽からはずしてから,写真−3のようにして,水圧で伸びたばねの長さだけ分銅をのせて伸ぱし,何gの力かを調べればよい。実験のデーターは次のようになる。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。